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怪獣とフーパーの夜

京都みなみ会館でトビー・フーパー監督の追悼オールナイトをやるというので観に行った。
しかも上映スケジュールを観るとその前に怪獣映画2本やるというので老体に鞭打って怪獣+ホラー5本立てというハードな夜となったのだった。

怪獣映画2本立ては「フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ」と「大怪獣決闘ガメラ対バルゴン」。ともに1966年の東宝と大映の怪獣決戦映画である。実は「ガメラ対バルゴン」、観たことがなかった。なんとなくあらすじ知ってるので観たことあるような気がしていたが、どうも観ていない。ストーリーがわりと大人向けというのもなんとなく知っていた。確かに僕の知っている昭和のガメラとは一味違う。面白く観た。昭和ガメラのチープさとけっこう頑張っている特撮と大人の生々しい欲望のマッチングが他にない魅力。「サンダ対ガイラ」は何度か観ているが今回は中島春雄さん追悼も兼ねてしんみり観る。

さて今回本命のフーパー・ナイトだが、上映されたのは「マングラー」「悪魔の起源-ジン-」「悪魔のいけにえ」の3本。「悪魔のいけにえ」以外初見。
実はトビー・フーパー、そんなに観てるわけでも特別大好きというわけでもなかった。有名な「悪魔のいけにえ」は若い頃観てるが今ひとつ趣味に合わなかった。その後は「ポルターガイスト」とか「スペース・バンパイア」とか大味な大作映画を撮った人という印象だった。それが今回かなり覆った。

「マングラー」はスティーブン・キング原作。呪われた洗濯工場のプレス機という頓狂な設定のパワフルなホラー。このレトロなプレス機がよい。だいぶ頭のおかしい工場の支配人を「エルム街の悪夢」シリーズでフレディを演じたロバート・イングランドが喜々として演じている。小粒ながら小気味よく悪趣味な作品。

次の「悪魔の起源-ジン-」はフーパー監督の遺作。これ、けっこう評価が分かれる作品らしいのだが、僕はめちゃくちゃ面白かった。なんとアラブ首長国連邦の映画である。イスラム・オカルト映画という珍品。アラビア語と英語が半々くらい。役者もそちらの人のようだ。Jホラーの影響を受けたような、どちらかというとじわじわと怖い映画。アメリカで暮らしていた主人公夫婦が幼い子供を失い、アラブ首長国連邦に帰ってくる。妻の実家が近くで、夫婦は霧に覆われた新しい高級マンションに暮らすことになる。そこで次々に起こる変異。
大ネタはなぜかわりと序盤で割ってしまうのだが、それでもストーリーは緊迫感を失わない。音響と編集の巧みさがサスペンスを盛り上げ、派手な虐殺シーンなどはないのだが怖い。心理描写も巧みで特にヒロインの孤独と罪悪感が恐怖に拍車をかける。

「悪魔のいけにえ」と観比べると、一貫しているのは異質な存在が彼らなりの倫理や美学や哲学を持っていて、その存在との絶望的なディスコミュニケーションが恐怖を産んでいる、という点だろう。「悪魔の起源-ジン-」もジン側には一貫した理屈があってそれが主人公を追い詰めるのである。「悪魔のいけにえ」の殺人一家の家族愛とつながるところがある。ホラー全般にそれはあると言えばあるのだが、フーパー監督の向こう側の描き方にはやはり説得力がある。

最後に久しぶりに「悪魔のいけにえ」観たら、昔観たときよりはずいぶん楽しめた。そして「悪魔のいけにえ」観て迎える朝はなかなかによいものなのである。ああ、生きていてよかったと思える。こんな機会を作ってくれた京都みなみ会館に感謝。
改めてトビー・フーパー監督のご冥福をお祈りします。
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火は火星の火 第4回 「スペースインベーダー」

火曜日に火星SFを観る「火は火星の火」第4回は1986年の「スペースインベーダー」。
先週の火曜日に観た「惑星アドベンチャー/スペース・モンスター襲来!」のリメイクであり、8月26日に亡くなったトビー・フーパーの監督作である。原題はオリジナルと同じ「INVADERS FROM MARS」。

びっくりするくらいオリジナルに忠実なリメイクだった。まさかこんなに原典通りのストーリーだとは思わなかった。デビッド少年が丘の向こうにUFOが降りてくるのを目撃する出だしから、ちょっと微妙なエンディングまで基本的なアウトラインは全くそのままなのだ。中盤の展開が少し違うけど、問題の丘の風景も忠実に再現しているし、首の後の傷も地下の宇宙人の基地も火星人の構成も火星人が地球に来た理由もラストの脱出劇もほとんどそのままである。ちなみに主役のデビッド少年を「パリ、テキサス」のハンター・カーソンくんが演じている。リンダ先生役のカレン・ブラックは実の母親。

オリジナル版でデビッド少年を演じたジミー・ハントは警察署長役でゲスト出演。デビッドが通う小学校はメンジース小学校で、メンジースというのはオリジナル版の監督の名前である。作り手たちのオリジナル版に対する並々ならぬ敬意が感じられる。そうか、「惑星アドベンチャー/スペース・モンスター襲来!」ってそんなにリスペクトされている作品なのか。てっきり宇宙人が親や隣人に入れ替わるというアイディアだけもらった別物なのかと思った。

脚本に「エイリアン」や「バタリアン」で有名なダン・オバノンが入っている他、特撮にジョン・ダイクストラ、スタン・ウィンストンが入っていてなかなかに豪華な布陣なのだが、全体としてはだいぶチープな仕上がり。たぶん公開当時観に行っていたらがっかりしてた。しかし今回はそれなりに楽しく観た。何よりオリジナル版を観てから観たのでフーパー監督はじめ作り手たちの工夫とこだわりが感じられて微笑ましい。テレビで「スペース・バンパイア」やっているのもご愛嬌。まあ傑作ではない。しかし嫌いにはなれない映画だ。基本この映画はジュブナイルなんだと思う。1986年には僕はとっくに成人していたが、小学生でこれ観てたらけっこうトラウマになったはず。両親が宇宙人に乗っ取られるという基本設定がすでに子どもには怖いし、リメイク版オリジナルのルイーズ・フレッチャー演じる生物の先生は強烈なインパクトだ。変な火星人とその奴隷ミュータントも楽しい。作り手の稚気をこそ愛すべき映画。

火は火星の火 第3回 「惑星アドベンチャー/スペース・モンスター襲来!」

久しぶりに火曜日に火星SFを観る「火は火星の火」の第3回である。今日はたまたま同じ名前のミサイルの話題が列島を席巻したがそれとは何の関係もない。念のため。

どちらかというと26日に亡くなったトビー・フーパー監督に関係がある。トビー・フーパー監督に「スペースインベーダー」という適当な邦題をつけられた映画(未見)があって、それが今日観た「惑星アドベンチャー/スペース・モンスター襲来!」というやはり適当な邦題をつけられた映画のリメイクなのである。原題はどちらも「INVADERS FROM MARS」。

1953年のアメリカ映画。侵略ものとしては初のカラー映画なのだそうだ。
技術者を父に持つデヴィッドは天体好きの少年。ある明け方、望遠鏡で空飛ぶ円盤が丘の向こうに着陸するのを目撃する。様子を見に行った父親は父親は地中に飲まれ、全く別人のようになって帰ってくる。首の後には何か手術の痕が。

周りの人間がどんどん宇宙人に捕まって手先にされてしまう、という趣向の、作りようによってはホラーSFになりそうな題材。アブダクションものと言っていいのか。実際序盤はそうなのだが、女性医師ブレイク博士や天文学者ケルストン博士という理解者が現れて、わりと早い段階で宇宙人の侵略であることが軍部まで伝わってしまう。そんなに簡単に信じていいのかとも思うが、そこはジュブナイルSF映画だし言うのも野暮か。宇宙人の目的は地球人が建造しているロケットを妨害することにあるらしい。なにぶん50年代映画なので冷戦の反映は当然のようにある。

宇宙人に操られている人間と地球人との攻防なので、途中まではSFらしい絵はあまり出てこない。誰が宇宙人の手先なのかは分かっているのでその辺のサスペンスに欠けるのは残念。後半は地下の宇宙人の本拠地に潜入しての攻防。ここでやっと宇宙人が出てくる。まず出てくるのが操られているミュータント。図体がでかいが頭はよくなさそうだ。親玉は胸像みたいな手足のない(触手みたいなのは生えている)頭でっかちの宇宙人。頭はいいらしいが台詞がないので今ひとつ伝わらない。しかもどうも一人で来ているらしい。地下のセットはそれなりに趣があるがやはり特撮らしい特撮はあまり出てこない。ところでこの宇宙人、天文学者のケルストンは火星から来たのだろうと推測しているが、映画の中では今ひとつはっきりしない。タイトルが「火星からの侵略者」でなければ火星SFと言っていいのか迷うところだ。

ラストは夢オチのようなそうではないような微妙な終わり方。それなりに楽しく観たが特別出来のいい映画でもない。1979年になって日本で初公開されたそうだが記憶にないな。これをトビー・フーパー監督は1986年にリメイクしているのだ。どんな味付けをしているのか楽しみだ。近い火曜日に観ます。

ところでトビー・フーパー監督追悼で昨日何回か観ている「スペース・バンパイア」をまた観たのだけど、記憶よりずっと面白かった。「ザ・マミー/呪われた砂漠の王女」とちょっと似ているがクライマックスの面白さはこっちの方が断然上。ラストいいよなあ。

大映特撮ナイト 第10夜 「怪談佐賀屋敷」

DeAGOSTINIの大映特撮映画DVDコレクションを中心に大映特撮映画を公開年代順に観る一人上映会、第10回は1953年公開の「怪談佐賀屋敷」。実は僕にとって化け猫映画初体験。いや、こんなに面白いものとは思わなかった。

鍋島家家臣諫早豊前の陰謀で殺された龍造寺家当主又一郎と自害して果てたその母親の恨みを晴らすため、飼い猫こまがスーパーパワーを使って復讐していく話。それを追う探偵役の小森半左衛門を「西遊記」他で孫悟空を演じた坂東好太郎が演じている。

化け猫の側には復讐するだけの理由があるわけなので復讐譚としても楽しめ、同時に化け猫というモンスターを退治するドラキュラ映画的側面もあって、その辺のバランスがいい。復讐される側をいかにも悪い豊前(杉山昌三九)と豊前に唆された根はいい人の鍋島丹後守(沢村国太郎)に分けることで、復讐する側、される側両方のカタルシスを用意している。ヴァン・ヘルシング的キャラクターである半左衛門も丹後守に仕えながら同時に龍造寺家に親しい人物に設定していて抜かりがない。半左衛門がわりと近代的な合理主義者であるのもいい。丹後守が怪異に怯え精神を病んでいく描写もよく描けていて、見ようによっては罪の意識に駆られた丹後守が幻覚を見ているとも取れる。

しかし何といってもこの映画の魅力は化け猫というモンスターそのものの魅力だ。化け猫は人に取り憑いてその人になりすますのだけど、身近な人物が実は化け猫である、という設定がけっこうSFホラー的。化け猫には人を操る能力もあって、操られた人間がアクロバティックな動きをするのは「エクソシスト」の悪魔に取り憑かれた少女リーガンのようだ。こっちの方がずっと早いわけだが。見世物映画としても十分面白い。化け猫女優入江たか子、というのは名前だけは知っていたけど確かにインパクトあった。髪を振り乱し口の周りを血だらけにして大立ち回りを演じる入江たか子はモンスター役者として十分に存在感がある。猫の動きを取り入れつつ、首に噛み付く描写なんかはむしろ吸血鬼的。しかもハマーの「吸血鬼ドラキュラ」より何年も前の映画なのだ。(雰囲気は戦前のおっとりした「魔人ドラキュラ」よりはハマー映画にずっと近い。)アクロバティックなシーンを演じるスタントの人が女性に見えないのはちょっといただけないが。

入江たか子主演の化け猫映画はこの後何本か続く。次回はその一本である「怪猫有馬御殿」。

大映特撮ナイト 第9夜 「大あばれ孫悟空」

大映特撮映画を公開年代順に観る一人上映会、第9回目は番外編1952年9月の「大あばれ孫悟空」。番外編なのはこれがDeAGOSTINIの大映特撮映画DVDコレクションに入っていないから。1952年4月公開の「西遊記」の続編でわずか5ヶ月後に封切られている。人気あったんだろうなあ。

孫悟空に坂東好太郎、三蔵に春本富士夫は変わらないが、猪八戒が花菱アチャコから羅門光三郎に、沙悟浄が杉狂児から伴淳三郎に変わっている。八戒が関西弁なのは変わらず。沙悟浄のキャラはだいぶ変わっている。舌をペロペロ出す演技が特徴。前作で金角大王を演じた徳川夢声がナレーション。ちなみに猪八戒役の羅門光三郎は戦前の映画で孫悟空を4回演じているそう。

金魚の化身霊感大王、女郎蜘蛛の化身青面公主、虎力大仙、鹿力大仙、羊力大仙、猿の化身狙力大仙と動物の化物が次々三蔵一行の行く手を阻む。

前回より喜劇色が濃くなっている印象。セットなどは前回よりも豪華で映像もずいぶん洗練されている。ただ個々のエピソードがやや小粒なのは否めない。危機になると観音様が助けてくれるというのもちょっと肩透かし感はある。役者陣では三蔵に横恋慕する青面公主の清川虹子がおかしい。ウィキペディアを見ると、この年清川虹子は沙悟浄役の伴淳三郎と結婚している。7年後には離婚してるけど。

音楽が色々工夫されているのもこの作品の特徴の一つだが、砂漠を一行が歩いているシーンなどで電子オルガンらしき音楽が使われている。1952年という時代を考えるとだいぶ早いのではないだろうか。


次回は「怪談佐賀屋敷」。
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