ロマンポルノ・リブート(その3)

個人的にリブートの方で一番面白かったのは塩田監督の「風に濡れた女」。神代監督の「恋人たちは濡れた」のラストをちょっと思わせるオープニングで始まるのだけど(僕はこれも続けて観たので面白かった)、塩田監督のは全然濡れた感じがしない。カラッとしたコメディタッチの作品。主人公の男の目の前でいきなり自転車で海に飛び込む女。その女が男に何の理由づけもなく絡んでくる。基本的に今回のリプート作品は女の側が積極的な作品が多くて、それは今の時代を考えれば当然なんだろうけど、「風に濡れた女」のヒロインは中でも突拍子もなく面白い。テンポもよくラストのハッピーな感じもいい。

行定監督の「ジムノペディに乱れる」は今回のリブート作品の中では唯一はっきり男性を主人公にした作品。板尾創路さん演じる映画監督がいろんな女性と関係を持つ一週間を描く。男性を主人公にポルノ映画を作るのって今の時代かえって難しい気がする。この映画も主人公のダメっぷりが面白くもあるがちょっとイラッとさせられる。ちょっとナルシシズムが入っちゃっている感じがこの軽い不快感の元なのだろう。ラストはけっこうメロドラマ。ヒロインの一人を演じた芦那すみれさんはよかった。

一番ポルノから遠いのは当然のことながら園子温監督の「アンチポルノ」。タイトルでそう言っちゃってるからね。去年立て続けに公開された園監督の映画をことごとく観逃していて、ちょっと久しぶりの園作品になったのだけど、これがなかなか強烈だった。最初から最後まで登場人物が叫んでいて、ほとんどのシーンで舞台になっている部屋は原色で、ストーリーは何重にも入れ子構造になっていて、どれが現実でどれが幻想なのかの区別もつかない。観て疲れたが面白かった。破壊力はある。でも園監督はもうポルノ撮らなくていいと思う。

45周年ってちょっと中途半端な気がしたが、「映画芸術」の中田監督の言によると、日活的には50週年に向けて長期的な展望があるよう。リブートもこれで終わりではないらしい。今回監督がみんな男性なんだけど、女性監督のもあるといいと思う。女性が観に行かないんだったらこの企画は成功ということにならないだろう。僕が観に行った時はぱらぱらと女性の観客いたけど、思ったより少なかった。企画そのものは面白いと思うので無事続いてほしい。僕は続きあるのだったら極力観に行きます。
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ロマンポルノ・リブート(その2)

特に「牝猫たち」を「牝猫たちの夜」「(秘)色情めす市場」の続きで観ることが出来たのは面白い経験だった。タイトルからも分かるように「牝猫たち」は「牝猫たちの夜」を直接の下敷きにしている。風俗で働く3人の女を描く、というコンセプトは同じで、「牝猫たちの夜」のトルコ極楽が「牝猫たち」ではデリヘル極楽若奥様になっている。主人公の名前も同じ「まさこ」になっていてはっきりオマージュ的な側面がある。ついでに言うと「牝猫たち」には日活唯一の怪獣映画「大巨獣ガッパ」のガッパのソフビ人形が大事な小道具として使われていてそこも日活オマージュなのである。
正直言ってあまりごりごり社会派の作品だとつまらないかな、と思ったんだけど僕は「牝猫たち」はかなり面白かった。社会派的な道具立てはありながらも、それぞれに孤独を抱えた登場人物たちを脇役に至るまで愛情を込めて描いていて好感を持てた。主演の井端珠里さんも魅力的だった。「牝猫たちの夜」はトルコ嬢たちよりもゲイの誠くんの描き方が面白くもあり古臭くもあった。間に観た「(秘)色情めす市場」は文句なしの傑作だった。今回観た旧作ロマンポルノの中ではダントツでよかった。ここまで来るともうポルノだかなんだか分からないが。

もう一つ、はっきり対応関係があるのが「花芯の刺青 熟れた壺」と中田秀夫監督の「ホワイトリリー」。「花芯の刺青」の母娘関係を師弟関係に置き換えて、個々のエピソードもかなり使いまわしながら換骨奪胎している。と言ってもさすがに元ロマンポルノの助監督だった中田監督はロマンポルノの伝統に忠実で、一番ロマンポルノらしいロマンポルノ。ストーリーもけっこうベタながら緊張感があり引き込まれて観た。女性二人のセックスシーンを白百合の散らされた白い部屋のイメージで耽美な感じに撮っているのだけど、そう言えば昔のロマンポルノでひよこがいっぱいの部屋でセックスするのあったよなあ。と思ったら「映画芸術」のインタビューで中田監督も言及していた。小沼勝監督の「OL官能日記 あァ!私の中で」という映画だったらしい。ラストは思いがけず爽やかだった。

ロマンポルノ・リブート(その1)

京都みなみ会館で公開されているロマンポルノ・リブート・プロジェクト、新作5作と記念上映の旧作のうち6本を観た。
新作は「風に濡れた女」(塩田明彦監督)、「ジムノペディに乱れる」(行定勲監督)、「牝猫たち」(白石和彌監督)、「アンチポルノ」(園子温監督)、「ホワイトリリー」(中田秀夫監督)。
旧作は「恋人たちは濡れた」(神代辰巳監督)、「赫い髪の女」(神代辰巳監督)、「牝猫たちの夜」(田中登監督)、「(秘)色情めす市場」(田中登監督)、「一条さゆり 濡れた欲情」(神代辰巳監督)、「花芯の刺青 熟れた壺」(小沼勝監督)。

日活ロマンポルノ生誕45周年記念ということだが、45周年ってちょっと中途半端といえば中途半端だな。でもなかなか面白い試みだったと思う。

僕はもろ日活ロマンポルノの世代というわけではない。今はなき京一会館で古い作品をいくつか三本立てで観ているし、後期の、例えば「夢犯」(1985年)なんかはリアルタイムで観て感心した記憶はある。DVDでも何本か観ている。でも実は今でも日活ロマンポルノってそんなにすごかったの?と思わなくもない。京一会館でどきどきしながら観に行った時も、1時間強の作品が長く感じることの方が多かった。確かに面白い作品はあるし、全体としては退屈な作品でもおっ?と思うカットが入っていたりもする。しかし大学時代にすでに作品の多くは古く感じた。今「傑作」と言われる作品を観ても、正直ピンとこなかったりする。今回いくつか観て、神代監督が意外に合わなかった。性愛に関する感じ方や考え方というのはこの40年くらいでずいぶん変わったのだと思う。古く感じるのはやっぱり女性の描き方だ。女は男のもの、的な考えが見え隠れするとどうも物語に入り込めない。そういう意味で今回新作旧作合わせて観て、僕は全体としては新作の方が面白かった。

みなみ会館の上映で面白かったのは、今回のリブート作品、旧作ロマンポルノとゆるい対応関係があるらしく、その関連する旧作と新作を続けて観られるようにして組んであったこと。記念上映という形で組み合わされていたのは以下の通り。
 「嗚呼!おんなたち猥歌」>「ジムノペディに乱れる」
 「赫い髪の女」>「風に濡れた女」
 「(秘)色情めす市場」>「牝猫たち」
 「一条さゆり 濡れた欲情」>「アンチポルノ」
 「花芯の刺青 熟れた壺」>「ホワイトリリー」
「嗚呼!おんなたち猥歌」は今回残念ながら観逃したのだが、後はその組み合わせで観た。ただし、タイトルからも分かるように「風に濡れた女」は同じ神代監督の「恋人たちは濡れた」、「牝猫たち」は同じ田中監督の「牝猫たちの夜」にむしろ影響を受けていて、それも続けて観られるようになっていた。続けて観るといろいろ楽しみが増えるのでこれから観る人にもおすすめしたい。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」を観た。
僕の周りでわりと評判がよかったので、楽しみにしていたのだ。

なんというかとても懐かしい匂いのするSF映画、というよりスペオペ映画だった。
はっきり言って目新しさはほとんどない。
にも関わらず、観ていてとても気持ちのいい映画だった。

全く違うベクトルを向いた犯罪者5人(?)がチームになっていくストーリーがいい。
こういうチームが出来上がっていく映画はわくわくする。
「アベンジャー」には正直いって乗れなかったのだが、今回は純粋に楽しめた。
イメージは最初の「スター・ウォーズ」に近いが、僕はむしろ寺沢武一さんの「コブラ」を連想した。
キャラクターのアクの強さはコブラと似ている。
どのキャラクターも魅力的だが、樹木人間のグルートがやはりいい。
アライグマの姿をした凶悪犯ロケットとのかけあいが楽しい。

主人公のピーター・クイルは子供の頃に地球からアブタクトされてきた主要登場人物中唯一の地球人だが、母親の形見の70年代ロック&ポップスの入ったカセットを肌身離さず持っている。
これは原作にはない設定らしいが、この楽曲が劇中で使われいい味を出している。
特に敵陣に乗り込むところで使われたランナウェイズの「チェリー・ボム」は僕にとってはタイムリーで、テンション上がった。
先々月のダコタ祭で「ランナウェイズ」観てからしょちゅう聴いてたからね。
さっそく輸入盤のサントラも買った。
知っているのはランナウェイズとデヴィッド・ボウイとジャクソン5くらいだけど。
ラストのマーヴィン・ゲイ&タミー・テレルの「AIN'T NO MOUNTAIN HIGH ENOUGH」は名曲だな。
ソウルとかR&Bとか聞かないんで知らなかったけど。

ちなみにこの主要登場人物中、地球人が主人公だけ、という設定で僕が思い出すのは不二子・F・不二雄先生の名作「モジャ公」。
あれにも悪い宇宙人いっぱい出てきたね。
道理で懐かしいわけだなあ。

あ、スタン・リー、今回もどこかに出てたらしいけど気がつかなかった・
続編もあるらしいので、DVDでスタン・リーチェックしたりしながら楽しみに待つことにしよう。

話はちょっとそれるが、この映画を観ていて、「コブラ」の実写映画観てみたいなあ、と思った。
今の技術でアーマノイド・レディやクリスタル・ボーイ映像化したらかっこいいと思うんだけどな。
日米合作とかで作らないかな。

レッド・プラネット

6月の月極映画祭のお題は「観逃していたSF映画」。
2回めは2000年の「レッド・プラネット」。
監督はアントニー・ホフマンという人。

観逃していた、と言うか、この映画については公開時の記憶が全くない。
日本での公開は2001年の1月というから、僕が今の大学に勤めるちょっと前。
お金がなくて、映画を観るのを控えてたのかもしれない。
よく覚えてないけど。
この映画はたまたま某大型中古書店でDVDを見つけて、こんな映画があるのか、と思った程度。
そんなわけで大した期待もせずに観た。
以下ネタバレあり。

ヴァル・キルマーといえば僕にとってはオリヴァー・ストーン監督の「ドアーズ」でジム・モリソンを演じた人だが、この間たまたまテレビで最近の写真が出ていてすごく太っていたのでびっくりした。
まあジム・モリソンも長生きしていたら太ってたかもしれないが。
そのヴァル・キルマーと「マトリックス」でトリニティーを演じたキャリー=アン・モスが主人公。
他にテレンス・スタンプなどが出てくるが、登場人物はほぼ6人だけである。

21世紀の中頃、地球が汚染されたので人類は火星をテラフォーミングしようとする。
火星に藻を繁殖させて最初は上手くいっていたのだが、何故か途中から酸素濃度が下がってしまう。
その原因を探るために有人宇宙船で6人のクルーが火星に向かう。
というようなことをキャリー=アン・モスのナレーションで冒頭長々と説明する。
あまり上手いやり方ではない。

最初に地球の影から太陽が出てくるシーンが有り、キャリー=アン・モスの船長役の名前はなんとボーマンである。
いや、いくらなんでも「2001年宇宙の旅」の影響受けすぎだろう。
「2001年」の影響を受けたとおぼしいシーンは全編に散りばめられている。
しかしそれだけに映像はなかなか本格的だ。
例えば宇宙船内の重力にしても怪しげな重力発生器ではなく、「2001年」みたいに回転で生み出している。
なんでもないことだが、案外そんなSF映画は少ない。

火星に到着する直前にフレア・バーストを受けて宇宙船は大破。
かろうじて船長以外の5人が火星に不時着、ボーマン船長は宇宙船に留まる。
そこからのサバイバル劇が本筋で、「月は地獄だ」以来の古典的テーマである。
いや、もっと古いのあるかな。
あるだろうな。

話は地味だし、展開も先が読めてしまう。
でも僕はけっこうこの映画は拾い物だと思った。
「2001年宇宙の旅」ほど深遠ではないし、「ゼロ・グラビティ」ほどの迫真性はない。
でも「2001年」と「ゼロ・グラビティ」の間でこれほど科学的な考証のきちんとしたSF映画を他に知らない。
20世紀の終わりにこんなまっとうな火星SF映画が作られていたとは知らなかったよ。
火星についての情報はもうすでに古くなってるけど、志は買いたい。
細かいギミックなんかもよく出来ている。
HAL9000的なロボットも出てきて、これはまあお約束だからなあ。
火星探査用のロボットに対ゲリラ用戦闘モードが仕込まれているのはなんでやねん、とは思うが。

この映画ではキャリー=アン・モスのボーマン船長がかっこいい。
「2001年」は女っ気のない映画だったからなあ。
「エイリアン」以降はSF映画も女性の時代ですよ。
テレンス・スタンプは意外に地味な役だったけど、さすがに存在感がある。

来週は「ガタカ」。
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