東京展覧会巡り(その2)

明けて4日は5つ回った。まず東京駅に出かけ、東京ステーションギャラリーの「アドルフ・ヴェルフリ展」に行く。兵庫県立美術館に来ていたのだけど、その時は行きそびれた。アウトサイダー・アートとかアール・ブリュットとか言われるタイプの画家。精神病院で新聞用紙に延々自分の作った物語を絵と言葉にして描き続けた。鉛筆と色鉛筆で描かれた絵は曼荼羅のようで鬼気迫るものがある。

東京ステーションギャラリーから歩いて三菱一号館美術館に移動。こちらは「オルセーのナビ派展」をやっている。意外だがナビ派の本格的な展覧会は本邦初らしい。19世紀末に象徴的で平面的な新しい絵画を目指した画家たち。僕は前からわりと興味があって、詳しいわけではないがピエール・ボナールとモーリス・ドニは好き。今回はその二人の作品も多数展示されていて、特にドニは充実していた。けっこういろんな絵柄で描く人なんだな。ボナールはまだ見足りない。他ではヴュイヤール、ヴァロットン、セリュジェ、マイヨールなどの作品がよかった。マイヨールって彫刻家にもいたなと思ったら、あのマイヨールらしい。元々絵を描いていたんだけど視力が落ちて彫刻に転向したそう。ナビ派の画家たちは浮世絵に影響を受けているので日本人にも馴染みやすい絵だと思う。色彩の繊細さとどこか謎めいた感じがいい。

今度は銀座に移動。KHギャラリー東京という画廊でやっている「金子國義×コシノヒロコ EROS2017」という二人展を見る。金子國義さんの原画見るの初めてかも。点数は多くなかったが嬉しかった。
同じ銀座のヴァニラ画廊では「古屋兎丸 『帝一の國』原画展」をやっている。決して広くない会場は若い女の子でいっぱいである。さすが兎丸先生。先程完結し、映画化もされた「帝一の國」の原画180点以上が展示されている。美麗な原稿群。なんとご本人がおられてサインにも応じられている。アウェー感半端なかったけど並びました。兎丸先生、優しかった。

最後にもう一つ、渋谷まで移動してBunkamuraザ・ミュージアムで開催されている「写真家ソール・ライター展」に駆け込む。この写真家についても知らなかったんだけど、ポスターか何かで「足跡」という赤い傘と雪に覆われた路面のコントラストが見事な写真を見て、あまりのかっこよさに感動して見にいった。行ってよかった。モノクロの写真もその独特な構図が見事なのだけど、カラーは本当に素晴らしかった。斬新な構図、大胆かつ繊細な色彩、刺激になった。ちょっと驚いたのが、ソール・ライターはボナールやヴュイヤールといったナビ派の画家の影響を強く受けていたことで、ナビ派の後にこれ見れてよかった。これから見る人には「オルセーのナビ派展」とこれを続けて見ることをおすすめ。

そんなわけで二日で8つ展覧会を見た。本当は今日は本命である国立新美術館のミュシャと草間彌生を見るつもりだったのだけど、明日のイベントで出すコピー誌の文字入れを今になってするという愚挙のため断念。もう一回東京に来ないといけない。この二展は見逃すわけにはいかないのだ。
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東京展覧会巡り(その1)

ゴールデンウィークは東京に来ているのである。
5月6日のコミティアと5月7日の文学フリマに参加することが主目的なのだが、せっかく東京まで来たのだから展覧会巡りをした。

5月3日は早朝に京都を出て朝のうちに東京に着いた。ホテルに荷物を預けてすぐ上野に行く。

まずは国立科学博物館の「大英自然史博物館展」へ。ロンドンには以前行ったのだが自然史博物館には確か行きそびれている。貴重な所蔵品の優品を展示しつつ、自然史博物館と博物学の歴史を概観できる展示になっている。関わった人物の紹介にけっこうスペースを割いているのも特徴。女性の博物学者を多く紹介していて興味深かった。展示品中一番感銘をうけたのはオオナマケモノの骨格標本。ナマケモノを自称しているので。オオナマケモノには指が5本あるんだな。

さてその次はお隣の国立西洋美術館の「シャセリオー展」。19世紀ロマン派のこの画家の名前を知ったのは子供のころ。うちにあった百科事典に「エステルの化粧」という絵が載っていて、その官能的な女性像にどきどきしたのを覚えている。二の腕の太さに感動した。残念ながら「エステルの化粧」はなかったけど、いくつかある官能的な女性の絵には確かに面影がある。しかし「エステルの化粧」にしても、展示してあった「アポロンとダフネ」「泉のほとりで眠るニンフ」「海から上がるウェヌス」にしても,シャセリオーの裸婦は両腕を高く上げているのが多いんだけど、ちょっと腋フェチのケがあったのではないか。高く上げた両腕の肩から腋、二の腕辺りがツボだったのは間違いないと思うんだけど。

もうだいぶ時間も押していたのだが急いで次の会場へ。東京藝術大学大学美術館の「雪村展」。実はノーマークだったのだけど、上野に来て看板見て興味を持った。「奇想の誕生」と副題が付いていては看過できないではないか。雪村は「ゆきむら」ではなく「せっそん」と読む。そう看板に書いてある。16世紀の画僧。水墨画で描かれた奇抜な人物、動物、景色。強い風が吹き木々が折れ曲がり波はまるで人の手のように招く。人物のポージングも癖があるし、龍や虎も個性的だ。猿の絵がかわいい。ずいぶん長生きをした人で晩年まで精力的に描き続けた。

京都精華大学マンガ・人文・ポピュラーカルチャー学部卒展

マンガ学部と人文学部・ポピュラーカルチャー学部の卒展を見にいった。遅まきながらざっと紹介。
マンガ学部の卒展は京都国際マンガミュージアムで10時から18時まで。
アニメーションコースは上映会形式で、Aライン、Bラインに分けて21本の短編を上映。それぞれ35分ほどかかるので余裕を見てご来館を。タイムスケジュールは以下の通り。
Aライン 11:00~:12:40~:14:20~:16:00~
Bライン 11:50~:13:30~:15:10~:16:50~
個人的にはAラインの「トウフ、宇宙へ」とBラインの「観戦」が面白かった。
ギャグマンガコースとキャラクターデザインコースは今年が初卒展。ギャグマンガはさすがにエンターテイメントしていて卒展の概念にとらわれないサービスっぷり。キャラクターデザインは絵のうまい学生が多いのは当然、立体で頑張っている学生もいて楽しめる。
マンガプロデュースコースは展示に工夫があり、ずっと見やすくなった。マンガ、ネーム原作、研究などの個性的な発表が並ぶ。カートゥーンコースはどんどん自由になっている感じ。一枚絵も面白い作品が並ぶし、連作にとてもセンスのいい作品があった。上手いなあ。
そして我らがストーリーマンガコースは展示にも力を入れているけど、今年は読んでもらうことを第一に工夫をしました。ぜひお時間許すかぎり気になる作品を読んでやってください。

人文・ポピュラーは京都精華大学での開催。人文は明窓館101教室での展示。こじんまりとした展示だけど内容はバラエティに富んでいる。マンガを描いている学生がいて、マンガ学部の学生に比べても遜色ないし、人文で学んできたことが生かされている感じで感心した。音楽コースとファッションコースからなるポピュラーカルチャー学部初の卒展「THE PORT」は友愛館全館を使っての展示。ちょっと学祭感覚の新しい卒展の形に挑んでいる。気になる方は「#ぽそつ」で検索!

京都精華大学卒業制作・修了制作展も残すところ18日と19日の2日間。ぜひ学生たちの4年間の学びの成果を御覧ください。

京都精華大学芸術・デザイン学部卒展

今日から京都精華大学卒業・修了制作展である。
マンガ学部は京都国際マンガミュージアムで、芸術・デザイン学部は京都市美術館で、ポピュラーカルチャー学部、人文学部は京都精華大学でそれぞれ4年間の成果を発表する。
昨日と一昨日はストーリーマンガコースの卒展搬入で大わらわだったのだが、初日の今日は京都市美術館の芸術・デザイン学部の卒展と京都市美術館別館の芸術・デザイン・マンガ研究科の修了制作展をのぞいてきた。

芸術学部7コースとデザイン学部6コースの卒展なので、京都市美術館の卒展だけでも全部回るのはけっこう時間がかかる。
今年は1階がデザイン学部と映像コース、2階が映像以外の芸術学部だった。
まず1階のデザイン学部の展示から見る。
さすがにデザインを勉強している学生は展示そのもののセンスがいい。作品もバラエティに富んでいて、映像やインターラクティブな作品も多かった。ヴェロキラプトルがダンスを踊っているCG作品とかもあって楽しむ。平面作品もマンガの学生とはぜんぜんタイプの違う作品が多くて刺激になる。プロダクトやライフクリエーションの実用性の高い作品もいつもながら感心させられる。映像コースはいつも全部見きれなくて残念なのだが、映像インスタレーションの作品は楽しい。中に人がいる作品があったが、彼は会期中ずっと作品の中にいるのかな。
2階の芸術学部も力作揃い。個人的には洋画に印象深い作品が多かった。立体、陶芸も面白い。
芸術・デザインの学生に何人かは知っている学生がいて、とても充実した作品を出していたのも嬉しかった。

京都市美術館から少し離れた京都市美術館別館では研究科(大学院)の修了制作展をやっている。京都市美術館に来られたらぜひこちらにも足を伸ばしてほしい。学部生とはまた一味違う駆け出しアーティストの作品が見られる。迫力があるし洗練されている。

ついでに近くのギャラリーをいくつか回る。美術館は17時までだが、ギャラリーは普通もっと遅くまで開いているので卒展の後にいくつか回ることが出来る。MORI YU GALLERYの花岡伸宏展は精華の立体の卒業生の個展。木彫にいろいろ他の素材も組み合わせて摩訶不思議な作品を作る。以前Gallery PARCで見てとても印象に残った作家。前に見たときのちょっとおかしみのある表現とはまた違って謎めいた静謐な感じの作品を展示していた。最近注目を集めている若手作家である。

今日卒展・修了展で見た学生・院生の中からも作家として活躍する人が出てくるだろう。楽しみだ。
京都精華大学卒業・修了制作展は2月19日まで。
花岡伸宏展「入念なすれ違い」は3月5日まで。

メアリー・カサット展

今日は美術館巡り。
洋画コースの生駒泰充先生が出品されている二紀展を見に京都市美術館に行って、ついでに同じ京都市美術館の若冲展とお隣の京都国立近代美術館のメアリー・カサット展を見てきた。
二紀展の生駒先生の作品は素晴らしかったのだけど、残念、会期は今日までである。
若冲展とメアリー・カサット展はついでに見に行った。たぶんついでがなければわざわざ見に行かなかった。
若冲は水墨画が中心で若冲の筆さばきはかっこいいのだが、いかんせん最近の若冲ブームで人が多い。
まあ東京都美術館の若冲展に比べればずっとましだったのだが、人混みが苦手なので見やすい作品だけ見てそそくさと出てきてしまった。
で、メアリー・カサットである。
この印象派の女性画家については全く知らなかったし、母子像の画家と聞いてもあんまり興味をそそられなかった。
最初の部屋に展示されている「赤い帽子の女性」と言う絵を見ておっと思った。
下ぶくれの顔、赤い頬、団子鼻、太い眉、お世辞にも美人という顔ではない。
でも個性的でリアルで生き生きしている。
メアリー・カサットの描く女性は(女性の絵が大半なのだが)、それぞれに、顎がはっていたり、目がくぼんでいたり、強情そうだったり、生意気そうだったりして、一人一人がとても個性的だ。
理想化された女性像ではなく、それぞれのモデルの個性を尊重して描いていることがよく分かる。
カサット自身パリの国立美術学校が女性の入学を認めていなかった時代に単身フランスに渡って(カサットはアメリカ生まれ)絵の修行をした人である。
強い意志と聡明さを持った個性的な女性だったに違いない。
絵のタッチも同時代の多くの男性画家に比べても大胆である。
確かに母子像を多く描いた画家なのだけど、女性画家と言うだけで「母性的」とか「繊細」とか「温かいまなざし」とかいう言葉と結び付けられてしまうのは違うのではないかと思った。
僕自身、女性で「母子像の画家」と聞いてそういうステレオタイプな印象を持ったのだが。
ちなみに展示されている絵の中で一枚いかにも典型的に可愛らしい少女の絵があるのだが、その絵のタイトルは「青い服を着た少年(No.2)」である。

コレクション展の「梶原緋佐子」と「創る女たち」(テキスタイルコースの上野真知子先生の作品も展示されている)という特集もカサットに合わせた女性特集だが、当然ながら一人一人が全く違う個性だ。
クリエイターにとって女性であることが特別の意味を持たない時代が早く来ればいいのに、と思う。
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