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マン・オブ・スティール

「マン・オブ・スティール」を観た。
クリストファー・ノーランが制作に回り、ザック・スナイダーが監督をしたスーパーマン映画である。
以下ネタバレご免。


ザック・スナイダーが当代一の映像作家であることは疑いない。
そのザック・スナイダーがスーパーマンを撮るのだから、映像的に見応えのあるものになるだろうことは予想できた。
しかし、スーパーマンという扱いにくい題材をどう現代的にアレンジするのか、その辺は全く予想出来なかった。

冒頭、惑星クリプトンの描写に度肝を抜かれた。
ここまで作り込んでくるとは思わなかった。
ああ、本格的にSFをやろうとしているのか、と思った。

今のアメコミ映画の原点は1978年にリチャード・ドナー監督が撮った「スーパーマン」にある。
それまで子供向けの題材と思われていたアメリカン・コミックスのヒーローものを、大人が観ても楽しめる大作映画として撮ったのはこの映画が最初だ。
当時の最新の技術を投入し、キャストにもマーロン・ブランドやジーン・ハックマンら大物俳優を配しての娯楽大作だった。
ストーリーもよく練れていたが、時間を逆回転させるラストはやはり当時でも安直な気がして残念だったものだ。
2作目の「スーパーマンⅡ冒険編」(1980年)は、今回と同じくゾッド将軍たちが登場し、作りようによっては本格的な侵略もののSFになりえたが、実際に作られた作品は前作より後退した「マンガ的」な作品だった。
当時劇場で観て悔しかったのを覚えている。

それから33年経つ。
今度こそスーパーマンとゾッド将軍の戦いが本格的なSFの枠組みで作られるだろうか。
しかし、スーパーマンとSFは相性がいいようでそう一筋縄では行かない面もある。
確かにスーパーマンは他の星からやってきた異星人だが、スーパーマンというキャラクターにはSFというには非現実的な要素が多すぎる。
これをこのままSFで押し切れるものだろうか。

結論から言うと、「マン・オブ・スティール」は見事にSF映画たりえたと思う。
確かにいくつか疑問は残る。
クリプトン人が地球に来ると何故スーパーパワーを持つのかの説明も舌足らずだし、クリプトン人と地球人がそっくりであることにも説明はない。
しかし、この映画のスケールを支えているのは、クリプトン人と地球人という二つの人類が生存をかけて争う、という宇宙的な構図にある。
ゾッド将軍にはクリプトン再興という大義があり、一面的な悪ではない。
地球をクリプトン人に適した星にテラフォームするというアイディアも秀逸だ。
「アメリカの正義」の復権を歌った1978年の「スーパーマン」とはスケールがまるで違う。

そして、二つの世界の狭間にスーパーマンがいる。
この構図によって、一人の人間に世界の運命が委ねられる、というスーパーマンの宿命が無理なくストーリーに生かされている。
ちなみにこの構図は手塚治虫が好んで使った構図でもある。
「ジャングル大帝」、「ロック冒険記」、「鉄腕アトム」など初期の代表作の多くが、この、二つの対立する世界の狭間で悩む主人公、という構図で作られている。

この映画の大きなテーマは、セリフの中でも何度か出てくるように民族の「共存」だ。
これが非常に現代的なテーマであることはすぐに分かるだろう。
大事なことは、このテーマが外側から無理に接木したものではなく、スーパーマンの設定を掘り下げることによって出てきた、スーパーマンの内在的なテーマであることだ。
そうでなければ、この映画は現代的でよく出来ているけど、「スーパーマンではない何か」になっていただろう。
この映画は優れてSF的であり、なおかつスーパーマンの映画なのだ。

この映画の中では「共存」というテーマは実は描ききれてはいない。
この一作で描ききる気は最初からなかったのだろう。
個人的にはそれでいいと思う。
今回はレックス・ルーサーも出てこない。
まだまだ続きが観たい。

ジェリー・シーゲルとジョー・シャスターの二人が75年前に作ったスーパーマンの設定はお世辞にも洗練されたものとは言いがたい、子どもっぽいものだった。
その設定が語り継がれる内に深化してリチャード・ドナー版の「スーパーマン」として結実し、世紀を超えて今「マン・オブ・スティール」という作品にたどり着いた。
それは十分寿ぐに値する成果だと思う。
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