大映特撮ナイト 第3夜 「幽霊列車」

大映特撮映画を公開年代順に観る、3本目は1949年の「幽霊列車」。
柳家金語楼、花菱アチャコ、横山エンタツら、僕でも名前くらいは知っている落語家、漫才師が主演した喜劇映画ということで、特撮の幽霊がわやわや出て来る気楽な映画を期待していたらそういう映画ではなかった。
いや、いちおう喜劇なのだが、人間の欲望をわりとあからさまに描いた、戦後の混乱期の世相を反映した感じの映画。
雨の夜、山間の駅で足止めを食らって駅舎に泊まることになった一癖も二癖もある乗客たちのコミカルでサスペンスフルな群像劇に幽霊列車というアイテムが絡む。
登場人物の一人である傷痍軍人の盲人に「連中は、エロとグロと迷信に固まっているんです」というようなセリフがあるけど、そういう欲に惑う人々を少し引いた視点から見ている。
ネタバレになっちゃうけど、ホラーではなくミステリー。
幽霊出てきません。
エンタツ・アチャコは初めてちゃんと観るけど、この存外重い映画の中のコミカルパート担当。
映像は今観てもなかなかかっこいい。
夜のシーンがほとんどなのだが光と影の処理が巧みで美しい。撮影は宮川一夫。
特撮は回想の列車事故のシーンなど。円谷英二によるものだそうだ。
でも一番の見所は日高澄子演じる狂女(実際には違うんだけど)がラジオから流れる「東京ブギウギ」に合わせて踊りまくるシーンじゃないかな。ここは面白い。
オープニングとエンディングにかかる変な主題歌も聞きどころ。

次回は同じ1949年の「透明人間現る」。やっと特撮映画らしくなるのかな。
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ローグ・ワン

「ローグ・ワン」観た。

いろいろと不満はある。
まず帝国のセキュリティの甘さは伝統とは言えこれはさすがにザルすぎないか。これまでのスター・ウォーズでは、フォースを使ったと言えばそれでまあ納得せざるを得なかったわけだが、今回はそれもほとんどない。しかもストーリーは今までになくシリアスなのである。

そもそもゲイレンのホログラムメッセージが無茶振りである。デススターにトラップを仕掛けたのはいい。しかしそのためにはデススターの設計図が必要で、それを敵の本拠地の中枢に行って取ってこい、というのはあんまりだろう。トラップがあろうがなかろうがデススターの設計図は最重要軍事機密である。そう簡単に盗めるなら苦労はない。開発者なんだから、ホログラムに添付ファイルで設計図くらい付けてくれよ、という話でもある。ボーディーが命をかけて持ってきたわりに情報量少なすぎだろう。せめてデータのコピーをもう少し手に入れやすい場所に移動させるとか、何かしてくれてもいいんじゃないか。

で、盗んだ貨物船でならず者集団がノープランで敵の中枢に乗り込んで盗んでこれちゃうのだから、いったいどういうことなのか。

百歩譲ってスカリフまでは入り込めたとしても、貨物船が発着するような民間エリアから軍の最高機密施設であるシタデルタワーに入るにはそれ相応のチェックがあってしかるべきだろう。シタデルタワーにはセキュリティの概念がないのか。ボーディーは裏切り者として顔割れてるんじゃないのか。データにアクセスするのにパスワードはいらないのか。「マスター・スイッチ」はなんであんな屋外にむき出しであるのか。最悪シタデルタワーの屋上のアンテナ使おうとしていることが分かった段階で下で電源切ったらいいだけのことじゃないのか。

いろいろ突っ込みどころが多すぎてなかなか物語に集中できなかった。
あと、メインキャラクターに非人間型がほとんどいないのも不満だ。

と言いつつ、二度観に行った。
ラストは泣いた。
もちろんチアルートとベイズが一番のお気に入りですよ。
ぷんすか。

大映特撮ナイト 第2夜 「虹男」

DeAGOSTINIの大映特撮映画DVDコレクションを公開年代順に観ていくシリーズ第2回は戦後に移り1949年の「虹男」。監督は牛原虚彦。これで「きよひこ」と読む。かっこいいね。

まずオープニングでかかる音楽に驚いた。伊福部昭である。1954年の「ゴジラ」より5年も前。ウィキによると伊福部昭が初めて映画音楽を手掛けたのは1947年の「銀嶺の果て」という映画らしいのでかなり初期の映画音楽ということになる。しかしかっこいい。そこにかぶるシュールな絵もなかなか味がある。
以下少しだけネタバレ。

虹を人工的に作る研究をしている物理学者摩耶博士の別荘で起こった放火殺人事件。その足跡を追うと「虹男」という謎の存在が浮かび上がる。と書くとなんか東宝の変身人間シリーズみたいな感じで面白そうでしょ?実際途中まではかなり面白い。派手な演出、凝った美術、わざとらしい照明、大仰な演技、そして何と言っても虹男の存在をほのめかすパートカラー!日本の長編映画でカラーというと1951年の「カルメン故郷に帰る」ということになっているので、この白黒映画に突然色が出てくるのは当時相当衝撃的だったはず。今観てもびっくりした。もっともカラー部分のフィルムは現存していないそうで、このDVDのカラー部分は後から新たに作ったものらしい。そこは残念。

若き日の小林桂樹が準主役格の新聞記者で出てきたり、後に中川信夫監督の「東海道四谷怪談」(1959年)でお岩役をやる若杉須美子(嘉津子)が容疑者のヒロインだったり見どころは多い。主役の女性記者(暁テル子)のキャラクターは当時としては新しかったのではないか。摩耶家の怪しい面々もいかがわしくていい感じだ。嵐の中、電話ボックスでお手伝いさんが殺されるシーンは出色の出来。しかし後半に行くにつれプロットの無理が目立ってくる。謎解きもあっけない。いちおうミステリーなんで、スーパーナチュラルなものは出てきません。ちょっと「電送人間」的なの期待したんだけどな。で、これ特撮映画なのかと言われると、そうか?と首を傾げたくなる。

虹男というイメージが秀逸なだけに惜しい。

虹男

このパンフレットの絵、楽しみにしてたんだけど、出てこなかった。これは宣伝用の写真らしい。これ出てきたらあとはどんなにぐだぐだでも大目に見られたんだけどな。

大映特撮ナイト 第1夜 「かくて神風は吹く」

去年完結したDeAGOSTINIのDVDマガジン「大映特撮映画DVDコレクション」、実は一本も観ていなかった。全部揃ってから公開年度順に観ようと思ったのだ。今週から実行する。

誰も覚えていないとは思うが同じDeAGOATINIの「東宝特撮映画DVDコレクション」を年代順に観るというのもこのブログでやっていた。これは1965年の「大冒険」で止まっている。理由はつまらないことで、要するに次の「怪獣大戦争」と「フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ」を観ようと思って分けておいたら見失ってしまったのである。よくあるよくある。幸い去年の年末に奇跡的にその2本が無事発掘されたので、こちらも観ることが出来る。大映の方が年代的に追いついたら東宝と交互に観ようという算段。

と言っても大映の方が追いつくのはまだだいぶ先。東宝特撮映画DVDコレクションが1954年の「ゴジラ」から始まっているのに対して、大映特撮映画DVDコレクションは1944年の映画から始まっている。1965年の「大怪獣ガメラ」は37本目だ。しかもそこまでの映画、大半は聞いたこともない映画。果たして辿り着けるのか。

そんなこんなで大映特撮映画、一本目は「かくて神風は吹く」である。
1944年11月公開という情報とこのタイトルで察しのいい人ならどういう素性の映画かは分かるだろう。企画・情報局、後援・陸軍省、海軍省、軍事保護院というバリバリの国策映画である。しかしこれがなかなかすごい。大作である。元寇の時代を舞台に多彩な人物が登場する壮大な歴史絵巻だ。豪華なキャスト(片岡千恵蔵、市川右太衛門、嵐寛寿郎、坂東妻三郎)の重厚な演技、メリハリの利いた演出、豪華な美術・衣装、かなり劣化したフィルムでもそれと分かる流麗なカメラワーク(宮川一夫!)。よくこんなの戦時中に作ってたなあ。そしてこの映画が大映「特撮」映画に入っているのは、この映画の特撮を我らが円谷英二が担当しているからだ。主に元軍の船団のミニチュアワークと「神風」の撮影なのだが、これも立派なものである。ちなみに原作は当時大映の社長であった菊池寛。

それだけに痛々しい。この日本映画の総力を結集したような力作がすでに敗色の濃厚な時代の日本人に総力戦を促す映画であることは観れば分かるわけで、なかなかしんどい。しかし「この世界の片隅に」に見るように、戦時中の日本人の生活というのは決して戦争一色だったわけではない。この映画を一生懸命作った映画人たちがいて、この映画を観て勇気づけられた観客たちがいたのである。そういう日常があったのだ。そういうことも含めて一見の価値のある作品。
でも特撮映画はもっと気楽な方がいいな。個人的には。

次回は「虹男」。これ、タイトルだけでもかっこいいよね。水曜深夜更新予定。

火は火星の火 第1回 「火星超特急」

去年「火星の人」を映画化した「オデッセイ」の公開に合わせてSFマガジンなんかでも火星SF特集をやってたけど、僕も火星SFのDVDを少し集めたりしていたのだ。
で、今さらながら特に脈絡なく火曜日に火星SFを観る一人上映会を始める。
第1回は1951年アメリカ映画「火星超特急」。原題は「FLIGHT TO MARS」。なんでもカラー映画初の火星映画らしい。お正月に観るにはふさわしいんじゃないか。
以下ネタバレしてるがそれを気にするほどの映画ではない。

「火星超特急」という邦題はよく分からないが、5人の人間を乗せた人類初の火星探検ロケットが火星にたどり着くまでが前半。前半はあまりお金かかってない感じだ。ロケット打ち上げの時もみんな私服のままで、女性隊員のキャロルはロングスカート。宇宙服とかない。簡易ベッドに横たわったままの出発である。ロケットはもちろん銀色の流線型。

途中赤い火の玉みたいな流星群に巻き込まれて火星に不時着。火星は地面は赤くないんだけど空が真っ赤だ。
さて火星と言えば火星人だ。まず火星人の作った巨大な煙突みたいななんかが立っていて、火星人の存在がほのめかされる。ちなみに火星に降りた地球人たちはいちおう酸素マスクはつけてるけど顔出てるし、南極越冬隊なんかよりずっと軽装。期待させておいて火星人はとてもあっけなく出てくる。まさかの人間型だ。いちおう宇宙服もどきを着ているが地球人にしか見えない。しかも英語を話す。地球からの放送を受診して英語を学んだそうだ。えらいな。しかしどうして火星人同士話す時も英語なのだ。

地下の火星都市はチープながらそれなりに楽しい。火星人の女性はパンツ見えそうな(というか見えてる)ミニスカートだ。そこはなんかこだわっている。火星に入れば火星に従えで(実際そう言っている)、地球人女性もミニスカートに。地球人は地球に戻るべく火星人の協力を受けながらロケットを修理するのだが、火星人は完成したロケットを奪って地球を攻撃する気である。地球人の青年技術者ジムと新聞記者スティーブと女性隊員キャロルと火星の女性科学者アリーダの四角関係なんかも交えながら、地球人と火星人の虚々実々の駆け引きが行われるのだった。果たして彼らは無事地球に帰れるのか。いや帰れるんですけどね、そりゃ。最後のどんぱちが素手で殴ったりするだけでレイガンとか出てこないのもご愛嬌。

まあ気楽に観る分には楽しく観れた。1951年という時代を考えてもそれほどよく出来た映画ではないし特筆すべきところは火星のミニスカート以外あまりない。無理すれば冷戦構造の反映とか言えるが、それはこの時代のSFはどれを観てもそうなんで特筆すべき事でもないのである。そんなわけでオチなく終わります。また火曜日に会いましょう。
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