クリント・イーストウッド

北海道では初雪が降ったそうだが、京都は暖かいを通り越して暑いくらいの陽気。
昨日ちょっと飲みすぎて、朝ウォーキングに行った後昼頃まで寝ていたのだけど、その後祇園会館にクリント・イーストウッド監督の傑作2本を再び観にいく。
今回は発表順に「チェンジリング」「グラン・トリノ」の順番に観た。

改めて観ると「チェンジリング」は無駄を完全にそぎ落とした緻密な構成の作品だという事がよく分かる。
主演のアンジェリーナ・ジョリーを始めとする俳優陣も素晴らしいし、1920年代のアメリカを再現した美術、衣装も、端正な冴え冴えとした映像でドラマを描ききったカメラも完璧である。
神業的な映画だと思う。
重要な役割を果たす子供たちも印象に残る。
特に殺人を強いられたサンフォードや生き残ってしまったことに自責の念を持つデイヴィッドの痛々しさ。
僕は以前は実話の映画化ということにはあまりいい印象を持っていなかった。
映画は事実をそのまま伝えることは出来ない。
作り手のメッセージを伝えるために事実を利用することは事実に対する冒涜であるとすら思っていた。
今は少し違う意見を持っている。
ある種の事実は、一回限りの出来事でありながら、なんらかの普遍性を開示する。
映画がすべきことはそこに開示された普遍性を描くことにある。
その意味では、この驚くべき事実を掘り起こし執念をもって脚本化したJ・マイケル・ストラジンスキーの功績こそがまず称えられるべきかもしれない。

「グラン・トリノ」はアメリカの小さな町の出来事を描きながら、そこには世界の縮図がある。
主人公はポーランド系で、隣に越してきたのは東南アジアのモン族の家族、黒人もイタリア系もアイルランド系もその土地にはいる。
そこには暴力もあり、対立もある。
世界が直面している問題が箱庭のようにその小さな町に存在している。
世代間の問題と言う時間軸もそこに絡んでいる。
そういう問題に逃げずに向き合った映画であり、辛い結末を知っていてなお、二度目になるこの映画を僕はとても幸福な気持ちで観た。
この映画には優しさと未来に対する信頼がある。
誇りと美学がある。
世代を越えた友情がある。
この映画はクリント・イーストウッドが続く世代に送るエールだと思う。
ラストの海沿いの道はとても肯定的に未来に続いている。
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