オズ

今年はけっこう映画館に足を運んで映画を観ている気がしたんだけど、確かに今日観た映画で19本目は4月末としてはまあまあ観た方だと思うんだけど、そのうち新作は「ホビット 思いがけない冒険」と今日観た「オズ はじまりの戦い」だけだと気がついて愕然としたり。
で、観たのが「ホビット」と「オズ」ってのもなんか微妙だよなあ。

この二本、お気づきの方もあろうが、古典ファンタジーに基づく映画であるという表面的な類似の他に、もう一つ共通点がある。
監督がB級ホラー出身だということだ。
実は「オズの魔法使い」は原作も読んでいないし、ジュリー・ガーランドの映画もたぶん子どもの頃にテレビで観ているけど、正直言ってよく覚えていない。
大友さんが描いたちょっとやばいオズはよく覚えているけど。
この映画を観にいったのは、単純に監督がサム・ライミだからだ。

サム・ライミは「死霊のはらわた」シリーズや「XYZマーダーズ」や「ダークマン」でB級魂に満ちた映画を作って僕らの世代のオタクに歓迎された監督だ。
でも「シンプル・プラン」で大人のサスペンス映画を撮って、ああ、サム・ライミはもう卒業しちゃったんだな、とセンチメンタルに思っていたら(その後数本は観ていない)、「スパイダーマン」でパワーアップしてオタク世界に戻ってきた人である。
なんか他人のような気がしない。
いや、他人ですけどね(向こうにとっては)。
CGの技術ももう行くところまで行って、正直何が出てきてもびっくりはしない。
なんでも撮れるという状況の中でファンタジーを撮る、というのはけっこう難しい問題である。
サム・ライミならどう撮るんだろう、そこに興味があった。

ここからはネタバレあり。



冒頭モノクロスタンダードで始まるのはジュリー・ガーランドの「オズの魔法使い」に対するオマージュだろう。
確か「オズの魔法使い」も冒頭モノクロでオズの国に来てからカラーに変るのだ。
このモノクロ部分がよく撮れている。
モノクロ映画のよさをよく知っている人の絵だ。
ここで冴えない魔術師オズの人間的な弱さを描く。
これが後々利いてくる。
オズの国に来てからの物語は、オズと三人の女をめぐる話になっていて、この三人の女というちょっと生臭い人間関係を持ってきたのが一つはミソ。
特にセオドラというキャラクターは物語の予定調和を乱し、観終わった後も何か小さなしこりとして残る。
ここら辺は上手いと感じた。

この映画の見所は、本当は魔法使いではないオズが最終的に技術と想像力で状況を変えていくところだ。
オズはトマス・エジソンを引き合いに出して、魔法ではなく技術で勝負することを選ぶ。
その技術が映画なのだ。
ここでたぶんサム・ライミはオズに自分を重ねている。
あるいは全ての映画産業に関わる人間とオズたちを重ねている。
映画は膨大な技術の集積の上に成り立っている。
そこに想像力を加えることで観客にありえないものを見せることが出来る。
それがまさにオズがやったことだ。

今のファンタジー映画はやろうと思えばなんでも描ける。
でもそれが生きた映画になるかどうかは、そこに作り手自身のリアリティーがあるかどうかで決まるのだと思う。
サム・ライミは自身にとって一番身近な映画の世界のリアリティーをこのファンタジー映画に持ち込んだ。
だぶんそこがこの映画の勝因だ。

追記1
同じムービックスで「死霊のはらわた」のリメイク版をやってた。
ちょっと観たかったけどね。

追記2
三人の女にサム・ライミのリアリティーが反映されてるのかどうかは知らないよ。
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