ハリーハウゼン追悼Part4

アップするのが遅れたけど、先週の水曜の分。
しつこくハリーハウゼン追悼企画、第4弾。
いちおうこれで区切りにします。

今回観たのはハリーハウゼンのギリシャ神話もの2本。
1本目は「アルゴ探検隊の大冒険」。
1963年の古典的傑作。
登場するのは、青銅の巨人テイロス、二匹のハーピー、トリトン、ヒドラ、7人の骸骨戦士。
テイロス(タロス、の方が馴染みがあるが)のスケール感が素晴らしい。
ぎくしゃくした動きが帰ってリアル。
トリトンをダイナメーションではなく、人間が演じているのは、昔観たときはしょぼい気がしたが、今観ると悪くない。
周りの岩が崩れていくところが上手く撮られていて、なかなか迫力のあるシーンになっている。
しかしなんと言っても圧巻は7つ頭のヒドラとその歯から生まれた7人の骸骨戦士。
7人の骸骨戦士と3人の人間が戦うシーンは、気の遠くなるような複雑な合成をしている。
素晴らしい。

もう1本は1981年の「タイタンの戦い」。
この映画が2010年にリメイクされた時は意外な気がした。
当時劇場で観て、今いち、という印象だったし、メディアでの評価もそれほど高くなかったように記憶していたからだ。
今回久しぶりに観て、この映画が1981年当時古く見えたわけもなんとなく分かったし、それが21世紀になって改めて評価されるのも分かる気がした。
1981年と言えば「スターウォーズ」に始まるSFX映画の全盛期である。
1977年「スターウォーズ」、1978年「未知との遭遇」「スーパーマン」、1979年「エイリアン」「スタートレック」、1980年「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」、そして同じ1981年には「スーパーマンⅡ冒険編」「ハウリング」「狼男アメリガン」が公開されている。
この時期のSFXは大きく分けて2つの方向性があったと思う。
一つはスター・ウォーズに代表されるスピード感とスケール感のある宇宙表現。
もう一つは「ハウリング」「狼男アメリカン」に始まり、「遊星からの物体X」(1982年)で頂点を極める特殊メイクによる過剰な肉体表現。
「タイタンの戦い」でハリーハウゼンはペガサスを実に優雅に天駆けさせるが、これはこの時代のスピード感から言えばゆっくりすぎた。
画面手前から画面奥で点になるまで1秒、くらいの勢いでもおかしくなかったのだ。
また、メドゥーサの表現もこの時代の特殊メイクの生々しさに比べればクラシックに見えたろう。

しかし、今観ると、ハリーハウゼンのこの映画での仕事は立派なものだと思う。
ペガサスの美しさやメドゥーサの禍々しさはハリーハウゼンならではの素晴らしさ。
また、この映画でハリーハウゼンはいくつも新たな試みをしている。
クラーケンは「アルゴ探検隊」で見送った、「海の巨大生物」のリベンジであろう。
ダイナメーションで水を使う難しさに挑戦しているのだ。
またヒドラ以上に複雑なメドゥーサの動き。
沼地でのペルセウスとカリボスの戦いも、生身の人間とダイナメーションの取っ組み合い、という難度の高いもの。

ハリーハウゼンの特撮の特質を一言でいうならば「ピクチャレスク」と言うことではないかと思う。
その絵としての美しさを優先した画面作りが当時は古く見え、今は改めて評価されているのだと思う。
カリボスの沼地や盲の老婆たちの住処のクラシックホラーを思わせる絵作りも忘れがたい。
そして、ローレンス・オリヴィエ、マギー・スミスら、重厚なキャスティングも見応え十分。
ハリーハウゼン最後の仕事として、決して恥ずかしい映画ではない。
リメイク版も観たくなった。

ハリーハウゼンのDVD、まだまだあるんだけど、またそのうちバラで観ると思う。
とりあえずレイ・ハリーハウゼンのご冥福を改めて祈り、その素晴らしい業績を改めて称えたい。
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