SHORT PEACE

駆け込みで、レイトショーの大友克洋監督「SHORT PEACE」を観てきた。
これは素晴らしい。
大友克洋監督と言っても、これは5人のクリエイターによるオムニバス作品である。
ネタバレしない程度に書きます。

まず、オープニングが森本晃司監督。
はるかぜちゃんこと春名風花さんが声を当てている。
神社の前でかくれんぼをしている少女が不思議な世界に迷い込む、幻想的なアニメーション。
この神社、といロケーションがミソで、このオムニバスのテーマが「日本」なのだ。

「九十九」は森田修平監督。
付喪神をテーマにした作品だが、見るべきはその映像美。
たぶん3Dアニメーションを2D風に見せているのだと思う。
主人公の男が着ている服の模様がちゃんと3Dで動く。
男の服だけではなく、傘や反物、道具箱といったものがどれも美しい。
日本的な文様をアニメーションの中で表現して、素晴らしい効果を上げている。
最後に現れる「もの」は大友監督の実写デビュー作「ワールド・アパートメント・ホラー」を髣髴とさせる。

「火要鎮」は大友克洋監督作品。
部分的に見たことはあるのだが、初めて通して観た。
大友さん自身の短編が元だが、これも日本的美意識の極地と言っていい。
よく知らないけど「八百屋お七」とか、その辺がたぶん元。
絵巻物風に始まって、上下に絵巻の縁が最後まで額のように飾られている。
「吹抜屋台」や「異時同図法」と言った絵巻物独特の技法が使われ、遠近法も日本風のものが採用されている。
こちらは基本手描きアニメだが、着物の柄や刺青などにはもちろんデジタル技法が使われ、まさに動く日本画といった趣である。
物語的には物足りない気もするが、絵としての完成度はさすがに群を抜いている。

三作目の「GAMBO」も時代劇。
監督は森田修平さん。
石井克人さんが原案他で参加していて、貞本義行さんがキャラクター原案。
GAMBOとは劇中に登場する、日本にはいないはずのある動物。
その動物と鬼と人間の話。
これも映像が美しいが、前の二作とは画風が違い飽きさせない。
物語にもひねりがある。

四作目は「武器よさらば」。
大友克洋さんの短編マンガが元。
監督はカトキハジメさん。
これだけが未来の話。
しかし舞台は日本。
絵柄的にはこの作品のみがいわゆる「大友風」。
まさに80年代の大友克洋さんの一番大友さんらしい絵が見事に映像化されている。
大友さん自身が監督した「AKIRA」や「スチーム・ボーイ」以上に大友さんの絵に近い。
元の短編をだいぶふくらませて、現代のテクノロジーも反映させていて、古びた感じはしない。
四作並べて見ると、この作品の大友テイストは80年台の大友さんの絵がすでに日本の美術史の一部になっている、という宣言とも読める。

期待した以上の出来だった。
オープニングを含め5作とも見応えがあり、今の日本のアニメーションのやはりこれは一つの到達点だろう。
制作の経緯をよく知らないのだが(パンフレットが売り切れていた)、大友克洋さんの存在あってのオムニバスだと感じた。
昨日の「パシフィック・リム」を見たときは今は亡き友人のY君のことを思い出したが、今日はやはり若くして亡くなったS先輩のことを思い出した。
大友ファンだったS先輩ならこの作品をどう評価しただろう。
もしかするとお盆だから後の席で観ていたかもしれないけど。
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