珠玉の大津絵

8月17日から25日まで、主に岩手にフィールドワークの授業で出かけていた。
その間のことについては、また後日レポートしたい。

今日は、滋賀県の大津歴史博物館で開催されている「珠玉の大津絵 町田市博×大津歴博コレクション」を見にいった。

「大津絵」という言葉は、清水勲さんの新書「漫画の歴史」で知ったのだと思う。
日本における漫画のルーツの一つとして挙げられていた。
言葉としては知っていたけど、具体的にどういうものかよく分かっていなかった。
今回の大津歴史博物館の展覧会は、大津歴博のコレクションに加え、大津絵を多く所蔵する町田市博物館からも所蔵品を借りてきて、合同展として大津絵の全貌に迫る試み。
これは見なくては、と思って、実は原稿でお尻に火がついた状態なのに出かけたのである。

大津絵というのは、江戸時代に大津で売られていた土産物の絵で、東海道と伏見街道の中継地であった大津には多くの土産物屋があって、そこで売られていたものだそうだ。
元々は仏画だったのが、次第にレパートリーが増え、「鬼の念仏」、「長刀弁慶」、「藤娘」、「瓢箪鯰」などの絵が作られ、売られた。
土産物なので同じ図案のものがたくさん作られたのだが、時代によって絵柄が少しずつ違う。
安く大量に作るために絵柄は簡素化され、版画と肉筆画を組み合わせて作られていた。
精緻な浮世絵版画などに比べると、稚拙と言っていい、よく言えばヘタウマ的な絵。
しかし、不思議なユーモアがあり面白い。
個人的に好きなのは「外法の梯子剃り」という名前の付けられた絵。
外法というのは福禄寿の別名だそうで、福禄寿の長い頭に梯子をかけて、ふんどし一丁の大黒が髪を剃っているという図。
なんとも珍妙な絵である。
福禄寿は長寿、大黒は富財を表し、その両方を求めることを諌めた教訓が込められているのだそうだが、そういう意味を抜きに見ても面白い。
鬼も大津絵のレパートリーの重要なもので、鬼が念仏を唱えている「鬼の念仏」の他に、「鬼の行水」、「鬼の三味線引き」などがあって、どれもユーモラス。
雷様が海に落とした太鼓を先にカギのついた紐をたらして取ろうとしている「雷公」も楽しい。

これが今のマンガとつながっているかどうかは疑問だが、広い意味でのキャラクターアートであることは間違いない。
鬼にしても雷様にしても弁慶にしても福禄寿や大黒様にしても簡略化され、誇張された表現はキャラクターとして楽しい。
こういう絵を旅の記念に庶民が買って壁に貼っていたというのは、感覚として分かる気がする。
子どもたちもこういう絵が大好きだったのだろう。

大津絵を高く評価したのは民芸運動の柳宗悦だそうだ。
柳宗悦がいなければ、美術的価値のないものとして散逸していたかもしれない。
そう思うと、そろそろ昭和辺りの大衆文化もきちんと残しておかないとどんどん散逸しかねない。
僕の子どもの頃にはまだメンコという玩具が残っていた。
あれなんか、そろそろちゃんと集めとかないとなくなっちゃうんじゃないかな。
ちゃんと集めておけば後の世の人がその時代を知る上で大事な手がかりになる。
そういうものってたくさんあると思うんだ。
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