ダリオ・アルジェントのドラキュラ

第5回京都ヒストリカ国際映画祭、というのをやっていて、その中の一本が「ダリオ・アルジェントのドラキュラ」だ。
これは見逃すわけにはいかない、と思って、先週の土曜日に会場の京都文化博物館に観にいった。
僕はドラキュラ映画がとても好きなのだ。

ドラキュラが登場する映画はたくさんあるが、ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」を映画化した作品、となると数が限られてくる。
ムルナウのドイツ表現主義映画「吸血鬼ノスフェエラトゥ」(1922年)、ベラ・ルゴシが不滅のドラキュラ像を確立したトッド・ブラウニング監督作品「魔人ドラキュラ」(1931年)、同じセット、同じ脚本で監督、キャストが違う「魔人ドラキュラ(スペイン語版)」、クリストファー・リーがドラキュラを演じたテレンス・フィッシャー監督の「吸血鬼ドラキュラ」(1958年)、同じくリーがスペインで撮ったジェス・フランコ監督の「ドラキュラ伯爵」(1970年、旧テレビ版邦題「ドラキュラ・吸血のデアボリカ」)、ムルナウ作品をヴェルナー・ヘルツォークがリメイクしたクラウス・キンスキー主演の「ノスフェラトゥ」(1978年)、フランク・ランジェラが甘いマスクのドラキュラを演じたジョン・バダム版「ドラキュラ」(1979年)、そしてゲイリー・オールドマンがドラキュラを演じたコッポラ版「ドラキュラ」(1992年)。
こんなところだと思う。
21世紀に入ってからは初ドラキュラじゃないかな。

こういう風に何度も映画化されている作品というのは、その脚色の違いを楽しむのが一つの醍醐味。
さてアルジェント版、どうアレンジされているか。
以下ネタバレまくり。

まず、舞台だけど、パスブルクという聞いたこともない場所に設定されている。
ロンドン・パートはなし。
基本的にパスブルクの中でお話が進む。
村娘のタニア(気前よく脱いでます)が伯爵に教われるまでが最初のシーン。
タニアというのは今まで出てきたことないと思うけど、原作で言えばドラキュラの三人の妻の一人。
というより、テレンス・フィッシャー版でジョナサン・ハーカーの血を吸おうとしてドラキュラに吹っ飛ばされる女吸血鬼に当たる。
タニアを襲う伯爵は最初フクロウの姿をしている。
コウモリじゃないのか。
実はこの後も伯爵はいろいろと変身するのだが、フクロウ、オオカミは分かるが、いやこれはドラキュラちゃうやろ、というのも出てくる。
度肝を抜かれた。
ていうかあきれた。

ドラキュラ役はトーマス・クレッチマンというドイツの役者さん。
フィルモグラフィー見るとけっこう趣味のいい映画に出ている人なんだなあ。
どうしてこの映画に出ようと思ったんだろう。
金髪碧眼のドラキュラはドラキュラ映画史上初じゃないかと思うけど、この人が普通の人にしか見えない。
これはかなり致命的。
ジョンサンの血を吸おうとしたタニアに襲いかかるシーンは「吸血鬼ドラキュラ」におけるクリストファー・リーの凶暴さに比べると迫力なさ過ぎて失笑してしまうレベル。
ルーシーはアルジェントの娘のアーシア・アルジェント。
この映画でも脱いでます。
アルジェントは自分の映画で娘を脱がせることに抵抗はないのか。
ミナ役はマルタ・ガスティーニという人。
かなり美人です。
そして我らがヴァン・ヘルシングはルトガー・ハウアー。
老けたけど、かっこいい。
レンフィールドもちゃんと出てくるよ。
虫食べるシーンないけど。

70を過ぎた巨匠の貫禄が感じられるような重厚な作品では全然なくて、アルジェントらしい悪趣味さをちりばめつつ、あまり緊迫感なく物語が進む。
映像がやたら明るいのは、3D仕様だからか。
僕が見たのは2D版だけど。
総じて、男どもは(ドラキュラ含め)あんまり存在感ない。
それに対して女性陣は、タニア、ルーシー、ミナ、それぞれに見応えがある。
アルジェントは女性の趣味はいいと思う。
音楽は元ゴブリンのクラウディオ・シモネッティ。
音楽はすごくいいよ。

傑作にはほど遠い映画だけど、僕は十分堪能しました。
京都ではもう一回、12月8日に同じ京都文化博物館でやります。
暇な人は観にいくといいよ。
つまらなかった、って文句言われても知らないけどね。
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