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サスペリア・テルザ

サスペリア祭はまだ続いているのだ。
今日観たのは魔女三部作最終作「サスペリア・テルザ 最後の魔女」。
2007年、「サスペリア」から30年目の完結編。

最初に告白しておきます。
アルジェントなめてました。
「サスペリア」から「インフェルノ」に直線を引いて、その延長線上に「ダリオ・アルジェントのドラキュラ」を置けば、自ずと「サスペリア・テルザ」の位置は見当つくよなあ、と高をくくってました。
すみません。
反省しました。

今回はわりと本気のオカルト映画である。
僕の知る限り、オカルト映画とホラー映画の違いというのは次のようなことだ。
一般のホラー映画に登場する吸血鬼とかゾンビとかは基本的に空想の産物で、現実には存在しないと観客も分かっている。
それに対してオカルト映画というのは、幽霊にしろ悪魔にしろ、実在するかもしれないもの、を扱うのである。
オカルトの原義は「隠されたもの」だ。
「存在しないもの」ではなくて、「存在するかもしれないが隠されているもの」を扱うのがオカルト映画。
そういう風に思ってていいと思う。
そういう性質から、オカルト映画というのは基本的にリアリズムである。
「ローズマリーの赤ちゃん」しかり「エクソシスト」しかり。
その意味ではアルジェントの映画はあんまりオカルトっぽくないと僕は思っていた。

でもこの映画は現実側をかなり力を入れて描いている。
元々手堅いスリラーから入った監督なので、意外にそういうのもちゃんと描けるのだ。
その現実に魔女の世界が侵入してくる。
その描き方もさすがに堂に入っていて、見応えがある。
何より、ローマというヨーロッパ最古の都市の佇まいが物語に説得力を与えている。
ヨーロッパの闇が画面から立ち上がってくるようなリアリティーがある。
アルジェントはヨーロッパ人、イタリア人としてのアイデンティティーをここで遺憾なく発揮している。
性的な描写も多く、魔女信仰の持つ原初的ないかがわしさを感じさせる。
パゾリーニを生んだ国の監督ならではの猥雑で退廃的な描写で、アメリカ映画でこれは出来ないだろう。
ローマが魔女の力で頽廃していく描写はやや予算不足な感じだが、その代わりに最初にすごく恐ろしいシーンを入れてきていて、思わず悲鳴あげそうになった。
容赦ないな。

しかも「サスペリア」、「インフェルノ」の内容を取り込んでいて、ちゃんと三部作になっている。
これには驚いた。
いや、絶対「サスペリア」の段階ではこういう構想じゃなかっただろう、と思うけど、ちゃんと辻褄合わせてきている。

何本か続けてアルジェント映画を観ていると、アルジェントは本当は男に全く興味ないんだなあというのがよく分かる。
何人か出てくる男たちはみんな基本脇役で、重要な部分はみんな女なのである。
その辺もイタリアの監督らしいと言えばイタリアの監督らしい。
主人公側の女も魔女側の女もとても生き生きしていて魅力的だ。
特にパンクな現代魔女たちが面白い。
日本人の魔女も出てきて、強烈なインパクトを残す。
男の方はだいたい不甲斐ない。

建築と書物に対するオブセッションを感じさせる映像は重みがあって美しい。
それで通せばちゃんと巨匠の風格なのに、チープで悪趣味なシーンもちゃんと入れてきていて、そこら辺はアルジェントらしいなあ。
いや、褒めてますよ。
ラストに登場する最後の魔女である「涙の母」がえらく安っぽくて、しかも結末も実にあっけないのが欠点だが、まあアルジェントに完璧を期待していないので、そこはオーケー。
その詰めの甘さも含め、アルジェントの集大成と言うにふさわしい作品になっている。
それに最後の魔女にモデル上がりのピチピチの女の子を当ててるのはアルジェントの狙いなのではないかという気もする。
この通俗的で魅惑的で扇情的な女のイメージがアルジェントの考える魔女のイメージなんだと思う。

主人公のサラにアルジェントの娘のアーシア・アルジェント。
母親役は、そうじゃないかと思ったんだけど、実の母親のダリア・ニコルディ。
てことはアルジェントの奥さんか。
めちゃくちゃ家庭的なキャスティングだ。
もったいぶって出てくるわりにすぐ死んじゃうヨハネス神父はウド・キア。
いろいろ出ている人だけど、何と言ってもアンディ・ウォーホルが制作を担当した「処女の生血」でドラキュラ伯爵を、「悪魔のはらわた」でフランケンシュタイン男爵を演じた人として僕の中では永遠の変態俳優だ。
動物を巧みに使うことでは定評のあるアルジェントだが、この映画の猿は名演と言っていい。
音楽はゴブリンのクラウディオ・シモネッティ。
ここでもいい仕事してます。

ところで、タイトルの「サスペリア・テルザ」だけど、テルザなんて人はどこにも出てこない。
英語タイトルは「MOTHER OF TEARS」で、誰だよテレザって思ったんだけど、これはイタリア語タイトルの「LA TERZA MADRE」から取ってるらしい。
TERZAは「第3の」という意味の形容詞「terzo」の、語尾が女性名詞にあわせて変化した形。
タイトルは「第3の母」という意味になる。
発音は「テルツァ」に近いと思うけどね。
そんなわけで、どこ見てもテルザは出てきませんよ。
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