アニメ祭(その2)

さて、トリは高畑勲監督「かぐや姫の物語」だ。
昨年末の公開以来早く観たいと思っていたのだけど、結局終映ぎりぎりに観にいくことになった。
まあ、いつものことだ。

「竹取物語」にはけっこう思い入れがある。
高校時代に角川文庫で出ていた対訳付きの「竹取物語」を読んで、そのストーリーの秀逸さに驚いたのだ。
特に、かぐや姫が月で罪を犯して地球に送られてきた、という設定は実にSF的だと感心した。
月人の描き方も、単に月の尊い人間というより、悩みもなく知性的だが、人の情を解さない冷たい一面がある、というように描かれている。
むしろ、悩みや煩悩を持った人間を賛美しているように読める。
こんな物語が千年以上前に書かれていることに非常に感心したのである。

高畑監督の「かぐや姫の物語」は、その「竹取物語」の物語としてのポテンシャルを最大限引き出した作品だと言えると思う。
こんな「竹取物語」が観たかったのだ。
基本的に原作にかなり忠実な映画化である。
しかし、原作にはほとんど描かれていない子供時代のエピソードとキャラクターの内面の描写を加えることで、現代にも通用する物語を生み出した。
「竹取物語」を掘り下げることによって高畑監督はそこに普遍的なものを見つけたのだと思う。

映像も一見ラフに描かれたようで、非常に細やかだ。
自然描写の具体性が素晴らしい。
植物や動物がかなりの種類登場するが、どれも具体的な木や草や虫や獣で、なんとなく木、という描き方をしていない。
草本学的な正確さが物語に説得力を与えている。
アナログ感の溢れる絵だが、実際はデジタル技術を駆使している。
例えば、かぐや姫の部屋の床がつるつるに磨かれていて、そこに人物の影がうっすらと映り込んでいる。
これはアナログで作るのは難しい絵で、デジタル技術の賜物だろう。
それが男鹿和男さんの水彩画と全く違和感がない。

高畑勲監督は「母をたずねて三千里」以来のファンなのだ。
(「アルプスの少女ハイジ」は本放送では観てなくて、後から再放送で観た。)
最初にアニメーションの演出家というのを意識したのは高畑監督だと思う。
その高畑さんが70代も後半になってまだまだ瑞々しい感性を見せてくれる。
とても嬉しい。

一番好きなキャラクターは女童なんだけど、このキャラクター、「白蛇伝」の小青(しゃおちん)の流れじゃないかな。
白娘(ぱいにゃん)と小青の関係とかぐや姫と女童の関係が似ている。
相模はロッテンマイヤーさんだよね。
翁の地井武男さん、媼の宮本信子さんも素晴らしかったけど、地井さんには完成作観てほしかったなあ。
スポンサーサイト
プロフィール

おがわさとし

Author:おがわさとし
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR