京都府立鴨沂高校演劇部公演「S.」

舞台が続くよ。

京都府立文化芸術会館で第35回Kyoto演劇フェスティバルというのをやっていて、その最終公演を僕の母校である鴨沂高校の演劇部が担うことになった。
友人のあかねこさんに誘われて観にいく。

京都府立鴨沂高校は1872年に日本最初の旧制高等女学校として設立されたなかなかに伝統のある学校なのである。
「八重の桜」に出てきた新英学級及女紅場というのが実は鴨沂高校の前身である。
いや、「八重の桜」見るまで僕も知らんかったけど。
僕がいたのは30年以上前のことだけど、鴨沂高校と言えば自由を重んじる京都の中でもとりわけ自由な校風で鳴る高校だったのだ。
今の勤め先である京都精華大学と、雰囲気が似ている。
学校には恵まれたと思っている。
その鴨沂高校の旧校舎が老朽化のため取り壊して建て直すことになった。
それで去年は卒業生を招いたホーム・カミング・デーというものも催された。
僕も行きましたよ。

さて、鴨沂高校演劇部の「S.」だが、そんな旧校舎建て替えという状況の中、失われていくものに対する悲しみを描いて、エンターテイメントとしても一級品の傑作でした。
いや、高校演劇なめてたよ。
すごいな、鴨沂高校演劇部。

取り壊される直前の旧校舎に忍び込んだ三人の高校生、というシチュエーションから物語は始まる。
図書館の丸窓に見えると言う幽霊を見にきたのだ。
演技も上手いし、テンポもいい。
笑いのツボも心得ている。
場面は一転して、女学校時代の二人の女学生の話に。
こちらは基本的に切ない雰囲気で。
この二人の関係が百合的で、タイトルの「S.」はそれを指してるんだと思う。
「School」の「S」でもあるんだろうけど。

物語は重層的に構成されていて、旧校舎取り壊しに対する思いや学校批判なども織り交ぜつつ、コミカルなパートから切ないパートまで振り幅広く進んでいく。
主張を青臭くなく見せる技量は大したもので、鴨沂の自由な伝統とそれに対するこだわりを一度は笑い飛ばしてみせて(このパートが素晴らしく面白い)、しかし鴨沂の誇りもちゃんと主張する。
この辺は卒業生としては感涙ものでした。
女学生の百合話も、単に鴨沂がかつて女学校だったから出してるわけじゃなくて、二人の別れの切なさが旧校舎取り壊しの切なさにオーヴァーラップしていく展開が見事で、感心した。

演劇が本来持っているリアルタイムな問題に対するアクチュアルな関わりを出発点にしながら、この舞台は鴨沂高校と縁のない人が観ても十分面白いものに仕上がっていると思う。
具体的な個別の事情から出発してある種の普遍性に達している。
不肖の先輩として誇らしい。
いや、演劇部とは直接関係ないんだけど。

鴨沂も制服が導入されたりして、ずいぶん雰囲気変わっちゃったのかな、と思ってたんだけど、今日の公演観たらやっぱり変わらない校風と言うものがあるもんだなって思った。
校舎が変わっても鴨沂の自由と批判精神が変わらず続くといいな、と柄になく母校愛に目覚めてみたり。

あ、この舞台の中で、登場人物の一人が沢田研二の「時の過ぎゆくままに」を歌うんだけど(むろんこの選曲はテーマに絡んでいる)、沢田研二も元鴨沂生なのだ。
沢田研二は中退しちゃってるんだけど。
今でも鴨沂では沢田研二が元鴨沂生って有名なのか、とちょっとおかしかった。
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