神話の地と生賴範義さん

生賴さんの「スター・ウォーズ/帝国の逆襲」のポスター風にしてほしい、と恩田さんが言ってるんですが、出来ますか?

数年前、「S-Fマガジン」の塩沢さんからそう言われた。
恩田陸さんの「ロミオとロミオは永遠に」が早川Jコレクションに入る時の装丁の話である。
むちゃぶりもいいところだ。
言下に答えた。

やります。

S-Fマガジン連載時からイラストをつけていたのだ。
今さら他人に渡すわけにはいかないのである。

早速「帝国の逆襲」のポスターが表紙に使われた文庫本を入手して、それを拡大コピーして模写した。
四苦八苦してラフを描き上げ、かなり時間をかけて大型のキャンバスに描いた。
自分的にはがんばったと思うのだが、あとで創元の小浜さんに、全然違う、と言われてへこんだ。
そりゃ付け焼き刃で描ける絵じゃないっすよ。
まあ、恩田さんが気に入ってくれたみたいなのでよかったが。

生賴範義さんの絵を初めて意識して見たのは、中学の頃に読んだ平井和正さんのウルフガイ・シリーズのイラストだと思う。
かっこよかった。
表紙と口絵のカラーイラストもよかったが、中イラストのモノクロのものも印象に残っている。
肉感的な女性の絵がエロかった。
角川の小松左京さんの表紙も生賴さんだった。
スターログという雑誌で特集をやっていたのを見てファンになった。
僕の世代で同じ道を辿った人は多いと思う。
あ、ちなみに読みは「おうらいのりよし」です。
若い人のために言っておくと。

その生賴範義さんの個展が宮崎アートセンターというところで開催されるというので、それはなんとしても行かなくては、と思ったのだ。
知らなかったけど、生賴さんは宮崎在住の人なのである。
まあ、いつものように飛行機と宿の予約は実駒がやったんだけど。

そんなわけで、3月11日、震災3年目の日を僕は宮崎で迎えた。
生賴さんが表紙を手がけた書籍がタワーのように展示されている部屋で黙祷した。
館内アナウンスで黙祷を呼びかけていたのだ。

会場に入ると最初に目に入るのは生賴さんの自画像。
ペン画なのだが、よく見るとボールペンである。
それからゴジラシリーズのポスターの原画だ。
すごい迫力だ。
食い入るように見る。
それから小松左京さん、平井和正さんの本の表紙。
平井さんのは幻魔大戦が中心。
ウルフガイ・シリーズがほとんどなかったのが残念だけど、幻魔大戦の華麗なイラストも素晴らしい。

ゲームのイラストはほとんど初めて見るものばかり。
歴史上の人物を雄渾なタッチで描いた作品。
「宮本武蔵」のペン画も多数あって、興味深く見た。

会場は5階がエントランスになっていて、その後4階に移動。
おお、「SFアドベンチャー」の表紙原画がずらり!
生賴さんの描く女性は迫力あるなあ。
このシリーズは生賴さんの中でもかなり力入れてたシリーズなんじゃないかと思う。
一点一点凝ってる。
4階には、他に力の入った第二次大戦の絵も多数。
亡くなったY君が好きそうな絵だ。

圧倒的なデッサン力。
雄渾にして繊細なタッチ。
魔術的な色彩感覚。
斬新なアイディア。

生賴さん、やっぱりすげえな。
宮崎まで来た甲斐があった。
結局滞在中に二度見にいった。

せっかく宮崎まで来たので、一日は高千穂の天岩戸神社や天安河原に行き、もう一日は西都原(さいとばる)古墳群を見にいった。
今ちょうど古事記を勉強し出しているので(ほんのちょっとかじっただけだけど)、その舞台とされている場所を見るのは興味深かった。
西都原は、この間読んだ安彦良和さんの「ナムジ」「神武」では邪馬台国のあった場所ということになっている。
邪馬台国かどうかはともかくとして、自転車でゆっくり回って2時間ほどで回れる中に大小の古墳が群れをなしていて見応えある。
全体が公園のようになっていて自転車で走ると気持ちがいい。
宮崎へ行かれるのでしたら、ぜひ。
神話の地で生賴さんの絵を見ることが出来たのは本当に幸せなことだった。
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