東宝特撮ナイト第6夜(「ガス人間第一号」と「モスラ」)

東宝特撮映画を年代順に観ていく東宝特撮ナイト、今週は1960年の「ガス人間第一号」と1961年の「モスラ」。
だいぶ生まれた時代に近づいてきた。

「ガス人間第一号」は「美女と液体人間」「電送人間」に続く変身人間シリーズの第3弾で、最高傑作。
よく出来た映画と言うのはキャスティングがぴたりと決まっているものだが、この映画のキャスティングは素晴らしい。
ガス人間の水野役は「透明人間」、「マタンゴ」も含め、変身人間シリーズ皆勤賞の土屋嘉男。
ガス人間の不敵な不気味さと哀れさを演じて鬼気迫る。
相手役の零落した踊りの家元、藤千代を演じている八千草薫も人間離れして美しい。
この影のある二人の悲恋と、三橋達也、佐多契子の現代的な刑事と女記者の明るさが好対照をなしている。
脇役陣も爺や役の左卜全、マッドサイエンティスト役の村上冬樹、社会部デスクの松村達雄、殉職する刑事役の小杉義男らが印象に残る演技を見せている。
小杉義男っていい顔してるよなあ。
鬼瓦のような顔っていうのはこういうのを言うんだろうな。
特撮部分は多くはないが、物語に花を添えている。
マッドサイエンティストの部屋の漫画的な機械類も楽しい。

木村武の脚本もよく練れていて、本多猪四郎の演出も冴え渡っている。
怪奇色と探偵小説色が持ち味のシリーズだが、それが十分発揮された上、日本舞踊の古典的な世界と男女の堕ちていく恋愛が組み込まれ、何度観ても味わい深い映画になっている。
大人の映画だと思う。

あと、この映画の音楽は伊福部昭でも佐藤勝でもなく、「ウルトラQ」「ウルトラマン」の宮内國郎で、これがこの映画のサスペンスを高めている。
この音楽が後に「ウルトラQ」などで流用されたそうで、なるほど聞き覚えのある曲だ。

翌1961年の「モスラ」も本多猪四郎監督。
その前の「大怪獣バラン」が1958年なので、本格的な怪獣ものとしては3年ぶりになる。

「モスラ」は不思議な映画だ。
いろいろと矛盾するところは多い。
インファント島の密林が原水爆実験の後もそのまま残っている理由も十分には説明されていないし、モスラの成長も早すぎる。
海を渡っていたモスラの幼虫が突然ダムに姿を現すのも無理がある。
しかし、そういう欠点があまり気にならない大らかな幻想性がこの映画にはあり、東宝怪獣映画の中でもファンタジー色が特に強い一作だ。
語り草になっている、折れた東京タワーに繭を作るシーンはシュールレアリスムの絵のような美しさだ。
小美人の愛らしさは言うまでもない。
密林幻想、小人幻想、昆虫幻想、音楽幻想などが複雑に絡み合って、全体が一枚の絵のようである。
フランキー堺や香川京子を配して、どこかコミカルでのんびりした感じがあるのもこの作品の魅力。

中村真一郎、福永武彦、堀田善衛という純文学の三巨匠が執筆した原作小説は探せばどこかにあるはずなんだけど、すぐには出てこない。

ところで、冒頭インファント島に遭難者を助けにいくのは佐原健二で、助けられた船乗りの一人が加藤春哉。
調べてみるとこの二人は「地球防衛軍」「美女と液体人間」でも共演している。
佐原健二が万城目、加藤春哉が相馬記者を演じた「ウルトラQ」は1966年、5年後のことである。
一平役の西條康彦は「電送人間」に出てたらしいんだけど気がつかなかったなあ。
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