巴里の恋愛協奏曲

アラン・レネ追悼の方は初期の短編から始まって1966年の「戦争は終った」まで代表作を年代順に観てきたのだが、ここで時代が一気に飛んで、2003年の「巴里の恋愛協奏曲(コンチェルト)」を観る。
中期の作品がDVD化されていなかったり、アマゾンのユーズドでとんでもない値段がついていたりで、入手出来なかったのだ。

2003年といえば、1922年生まれのアラン・レネは80歳を超えている。
初期作品で戦争の問題と意識や記憶の問題を濃密な映像で語っていたレネが恋愛ミュージカル。
その間に何があったんだ、レネ。
この映画は1920年代のオペレッタを映画化したもので、1920年代の上流階級の恋愛劇を実に楽しい映画に仕立てている。
これっていい年の取り方だよね。
年取ってから暗い映画撮るようになったらなんか辛いけど、80歳過ぎてこの映画撮るというのはなんか観ているものまで幸せな気分になるね。

もっともこの映画、豪華な邸宅内を舞台に複数の男女のゲーム的な恋愛劇が進むという構成は「去年マリエンバートで」と似ていなくもない。
劇中劇が出てくるのも似ているし、そこはアラン・レネの映画である。

美術が素晴らしい。
舞台になるのは主演のサビーヌ・アセマ演じるジルベルトの邸宅と中国趣味のアパルトマンの二カ所だが、ともに緑と赤の二色を基調として美しい。
もちろん20年代ファッションも見所の一つ。

話は他愛ないながら、スリリング。
ジルベルトは夫と幸せな暮らしをしながら、若い芸術家との恋愛を楽しんでいる。
そこに夫の取引先のアメリカン人が来るのだが、それが実は離婚した前夫。
夫は、結婚した時に妻が処女だったと信じているので、ばれたら大変。
そこにジルベルトの姉や芸術家の若い男に恋する娘(「アメリ」のアドレイ・トトゥ)もからむ。
物語が一番混乱するジルベルト邸の最後のパートの魔術的映像はさすがのレネ節。

あと、若い芸術家がダダイズムとキュビズムを越えるキュキュイズムを唱えているのも楽しい。
アラン・レネ、この時代にもう生まれてたんだよな。
すげえな。

最後はハッピー・エンドで気持ちよく終る。
アパルトマンの管理人のおばあちゃんがいい味。
こういうレネもいいなあ。
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