帰郷

「吉永小百合 私のベスト20」というDVDマガジンを順番に観ているのだが、ずいぶん間が開いた。
前の「若い人」について書いたのが2月4日なので、4ヶ月ぶりの更新。
今回は1964年の「帰郷」を観る。
原作が大佛次郎、監督は西河克巳。
全然予備知識なくて、ジャケットの、台所で和服の高峰三枝子に後ろから吉永小百合が抱きついている写真のイメージだけだったから、なんとなくぬかみそくさい映画を想像していたら、いきなりキューバ革命の映像から入ってびっくりした。
物語は1957年のハバナから始まる。
キューバで地下活動をしていた元外交官が女の内通で秘密警察に捕まる。
男は銃殺されたらしいと地元の新聞が伝える。
そこで舞台が1964年の東京に移る。
男の妻は大学教授と再婚していて、娘は本当の父の記憶が無い。
そこに死んだと思われていた男が帰ってくる。

そこで起こる人間関係を映画は描いていくわけだが、国際政治とホームドラマが地続きである点に今との違いを感じる。
今ホームドラマを撮るのにわざわざ国際政治を絡める人はあんまりいないんじゃないかと思う。
父と娘の関係を描くのに例えばアフガン戦争を絡めたりしないよね、今は。
それだけ国際政治が身近だったということだろう。
60年台はまだまだ政治の時代である。
キューバで起こったことも自分たちに引き寄せて考えていたのだろう。
ただ、日本に移ってからの物語はもっと政治色が強いのかと思ったらそうでもなかった。
基本的に家族関係を描いたホームドラマである。

緊迫感のある演出と役者の充実した演技で面白く観たが、物語的には、父親が父親を、母親が母親を、娘が娘を過剰に演じているようで今観ると違和感がある。
それだけ良くも悪くも時代が変わっているのである。
政治に対する意識は今より高かったのだと思うが、家父長制的な家族制度の中で人間は今よりだいぶ窮屈な生き方を強いられていた。
そういう感じが伝わってくる。
1964年というと僕は2歳である。
記憶にある時代ではないが、かと言って無縁な時代ではない。
自分が生まれてすぐの頃の時代の空気を感じることができたのは興味深かった。
吉永小百合の凛とした佇まいも魅力的。
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