東宝特撮ナイト第8夜(「キングコング対ゴジラ」と「マタンゴ」)

東宝特撮映画を公開順に観ていく東宝特撮ナイト、第8夜は1962年公開の「キングコング対ゴジラ」と1963年公開の「マタンゴ」。
共に本多猪四郎監督作品ながら、趣は正反対と言っていいほど違う。

「キングコング対ゴジラ」の公開は1962年8月だから、僕が生まれた翌月である。
ほぼ同世代といっていいこの映画なのだが、僕は今ひとつ乗れないのである。
この映画は東宝30周年記念作品ということで大作感もあり、バラエティ豊かな娯楽作なのだが、いかにもファミリー映画然とした映画で、今ひとつ緊迫感がない。
この映画のゴジラは顔が小さくて顔立ちも爬虫類的でシャープなかっこいい造形なのだが、キングコングの方にはあまり魅力を感じない。
元々怪獣には人間から遠いものを求めているので、猿の怪獣に点が辛いというのもあるのだが、オリジナルの「キングコング」は好きだ。
やっぱりこの映画のキングコングの造形がピンと来ないんだと思うなあ。
腕の長さが度々変わるのも気になる。

有島一郎、高島忠夫、藤木悠のパシフィック製薬宣伝部三人組はいかにもテレビ時代の申し子という感じで、この時代としては新しいトレンドだったんだろう。
ちょっと調べてみたら、日本のテレビ元年は1953年で、テレビが一般家庭に普及しだしたのは1959年の明仁親王御成婚パレードから。
1960年にカラー放送が始まっている。
1964年の東京オリンピックでカラーが普及したそうだが、それよりだいぶ後までうちは白黒だった。
映画の中でパシフィック製薬がスポンサーをしている「世界驚異シリーズ」はカラー番組だが、当時は白黒で観ていた家庭の方が多かったんだと思う。

この映画で、北極海の氷山からゴジラが出現するのは前作の「ゴジラの逆襲」でゴジラが氷に閉じ込められるのを受けているのだと思い込んでいたのだが、改めて観るとそうは言ってないな。
とすると「ゴジラの逆襲」のゴジラとこの映画のゴジラはまた別の個体なのかな。
耳ないしな。
あと、この頃の映画で、古代のハスが花をつけた話がよく出てくるけど、これは1952年に花を咲かせた大賀ハスというもののようだ。
この映画では平田昭彦の重沢博士は「3000年前のハス」と言ってるけど、ウィキペディアによると「2000年以上前」だそう。
なんにしてもロマンのある話には違いない。

あと本筋と全然関係ないけど、この映画で浜美枝と若林映子が共演している。
この二人は1967年の「007は二度死ぬ」のボンドガールである。
実は1962年は映画の007シリーズ第1作の「007 ドクター・ノオ」が公開された年でもある。
5年後に二人ともボンド映画に出るなんてこの時は誰も想像できなかったろうな。
とか考えるとちょっと楽しい。

翌年の「マタンゴ」は全く雰囲気が違う。
この映画の魅力は第一に霧の晴れることのない名もない孤島のイメージだ。
鳥も寄り付かない呪われた島、という設定が魅力的。
そこに漂着した男女7人が互いのエゴイズムをむき出しにしていく展開もいい。
いつもは好青年の佐原健二や小泉博さえ例外ではない。
土屋嘉男はいつもの感じだが。
水野久美が妖艶。
その過程が執拗に描かれているからこそ、あのキノコ人間のイメージが馬鹿馬鹿しいものにならないでいるのだ。
そして最初と最後の精神病院のシーンも実に印象的。

この映画が公開された1960年代前半といえば、イギリスのハマー・プロダクションのホラー映画が人気だった頃じゃないかと思う。
テレンス・フィッシャーが1957年に「フランケンシュタインの逆襲」を1958年に「吸血鬼ドラキュラ」を発表して、ハマーが次々にモンスター映画を作っていた時期である。
この映画にもハマー・ホラーを思わせる雰囲気がある。
音楽もハマーっぽい。
しかし極限下での人間のエゴイズムを容赦なく描いている点では、むしろ1968年のジョージ・A・ロメロ監督「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」を先取りしているとも言える。
この映画が公開された1963年は奇しくも「吸血鬼ドラキュラ」の1958年と「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」の1968年のちょうど中間の年である。
そういう意味では新旧のホラー映画の流れの中間点にある映画と言えるかもしれない。
今観ても十分面白いです。

次回は「海底軍艦」と「モスラ対ゴジラ」。
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