バルテュスとうるし

「バルテュス展」と「うるしの近代」という全く違うタイプの展覧会を実駒とはしごした。
「バルテュス展」をやっている京都市美術館と「うるしの近代」をやっている京都国立近代美術館は通りをはさんだ真向かいなのである。

まず、バルテュス展。
バルテュスは扱う題材はショッキングだけど、技法はわりと古典的だと思ったら、若い頃はイタリア・ルネッサンスのピエロ・デッラ・フランチェスカの模写などを熱心にやっているのだった。
なるほど。
代表作の「美しい日々」や「夢見るテレーズ」などが予想していたより大きな絵でちょっと驚いた。
端正で緻密な構図なのに、どこかいびつな感じのする画面にはやはり謎めいた魅力がある。
小品だが「兄妹」とか「金魚」に描かれる子どものなんとも言えない不気味さもよかった。
あと、エミリー・ブロンテの「嵐が丘」の挿絵というのがあって、言われないと「嵐が丘」とは分からないと思うのだが、非常にバルテュス的で魅力的である。
頭身の変な人物たちによる物語の一場面が荒いタッチで描かれているのだが、その只ならぬ感じが独特。
只ならぬ切迫感がありつつ、どこか滑稽さも漂う。
基本的に物語性の強い画家だと思う。

次に、通りを超えて「うるしの近代」展。
「京都、「工芸」前夜から」という副題がついていて、江戸時代から大正、昭和に至るうるし作品が展示されている。
工芸というものに最近まで興味がなかったのだが、一度見だしてみると、その卓越した技法に支えられた洗練の極みというのはやはり見応えがある。
うるしは日本の工芸品の中でも華麗で洗練されたジャンルで、西洋でも高く評価された。
黒と金を基調にしたデザイン性の高い作品は今見てもかっこよく、クールジャパンなんて一時期流行った言葉はうるしにこそふさわしいのではないか。
バルテュスに思ったより時間がかかってしまって、最後は駆け足になってしまったのが残念だったが、一見の価値はあった。
まあ残念ながらこういった洗練された調度が似合う家に住んでいないので、美術館で見るだけになるわけだが。

そんなわけで全く違うタイプの美を堪能した一日。
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