アルタード・ステーツ/未知への挑戦

10月の月極映画祭は今年7月30日に亡くなったメークアップアーティスト、ディック・スミス映画祭だったのだけど、結局「エクソシスト」1本しか観れてない。
そんなわけで11月も引き続きディック・スミス追悼映画祭である。

今回観たのは1980年の「アルタード・ステーツ/未知への挑戦」。
監督はケン・ラッセル。
主演はウィリアム・ハートで、これがデビュー作だそうだ。
それは知らなかった。

当時劇場で観ていて、今ひとつのような気がしたが、改めて観ると悪くない。
アイソレーション・タンクを使った感覚遮断実験というのは大学で習った。
意識の変容をもたらし、人によっては幻覚を生じる。
それにメキシコ先住民の使っているキノコというのが出てきて、意識の変容が身体までも変えていくという趣向のSF映画である。
ウィリアム・ハートが自ら被験者となる科学者エディ・ジェサップ役。

ケン・ラッセルにしては抑えめな演出なのは、幻覚シーンとのギャップを強調するためだろう。
幻覚シーンはけっこう見応えがある。
ケン・ラッセルの面目躍如たるものがある。
ここはたぶんディック・スミスはあまり関わってなくて(山羊の特殊メイクはディック・スミスだと思うが)、特殊視覚効果はブラン・フェレンという人である。

ディック・スミスの特殊メイクは、一つはエディが原初の人間に変わってしまうところの原始人メイク。
これはウィリアム・ハートではなく他の人が演じているのだが、原始人が町中を走り回った挙句動物園に入り込むくだりはなかなか面白い。
原始人の人は大熱演だ。
もう一つはウィリアム・ハートの体がうごうご変化していくところ。
あと、ラストでは奥さんのエミリー(ブレア・ブラウン)の体も変化する。

ドラッグと意識の変容が身体の変容をもたらすというのは「アキラ」の鉄雄と似ている。
単純に影響を受けたとかそういうことではなくて、それが80年代的な身体観だったのである。
1982年にはデイヴィッド・クローネンバーグがディック・スミスの弟子であるリック・ベイカーと組んで「ビデオドローム」を撮っており、同じ年ジョン・カーペンターはロブ・ボッティンと「遊星からの物体X」を撮っている。
身体こそが異界である、という認識がそこにはある。
この映画も、自分の身体の深淵を覗くことから起こる恐怖を描いた映画と言えるだろう。
今ならCGでもっと極端な身体変化を描くことも出来るだろうが、ケン・ラッセルは特殊メイクと編集で効果的な画面を作っている。
最後は愛で解決しちゃうのはちょっと安直だが、あちらの世界に行ってちゃんと帰ってくる、というのは物語の構造として僕は嫌いではない。
行きっぱなしというのもそれはそれで面白いけどね。
ウィリアム・ハートもブレア・ブラウンもわりと惜しげなく脱いでいてそこも高評価。

次回はクローネンバーグの「スキャナーズ」。
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