塔の中の姫君(1)

MOVIX京都で「エンジェル ウォーズ」と「塔の上のラプンツェル」を観た。
特に意識してその二本を選んだのではなかったが、たまたま二本とも、囚われている女性が脱出を試みるというテーマが共通していた。
新城カズマさんは「物語工学論」の中で、こういった物語類型を「塔の中の姫君」を呼んでいる。
この本はいろいろと示唆に富む本で、授業でも使わせてもらっている。

順番としては上の順番で観たんだけど、まず「塔の上のラプンツェル」から。
ディズニーが記念すべき長編アニメーション50作目に「ラプンツェル」を選んだのを知ったとき、かなり意外な気がした。
確かに有名な童話ではあるが、今映画にして面白くなるものか疑問だったからだ。
特に、男の助けを待つ女、という設定を今ディズニーがどう扱うか興味があった。

物語の基本は「塔の中に閉じ込められているラプンツェルの自由への解放」であり、そこは変わらない。
しかし、グリム童話の短い原作に、脚本家は様々な肉付けをしている。
まずラプンツェルを閉じ込める魔女にラプンツェルを閉じ込める理由をはっきり与えた上で、魔女とラプンツェルの関係を母娘関係になぞらえている。
ラプンツェルは自由に憧れつつ、母親に対していい子でいたい、という願望も持ち、そこに現代でも通用する束縛する母親とそれに反感を持ながら逆らえない娘、というリアリティーを持ち込んでいる。
まずそこが上手い。
母親のキャラクター作りも巧みだ。

次に、原作ではラプンツェルは貧しい農家の生まれで、助けに来るのは当然王子なのだけど、映画ではラプンツェルが王の娘で、塔にやってくるのは盗賊である。
盗賊のフリンはラプンツェルを助けに来たわけではなく、逃げていてたまたま塔に入り込むのである。
ラプンツェルはフリンと契約して塔の外に連れて行ってもらう。
あくまでラプンツェルとフリンの関係が対等になるように計算されていることが分かる。
原作では最終的に王子がラプンツェルに居場所を与えるのに対し、映画ではラプンツェルがフリンに居場所を与えるのである。

ラプンツェルの特徴である長い髪にも特殊な力が与えられ、そのCGによる表現も含めて、巧みに使われる。
脇役の扱いも含め、ディズニーの伝統と言うより、古きよきハリウッドの伝統を総動員したようなストーリーテリングの冴えは見事。
ディズニーなめてたよ。
さすがに上手いな。
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