冬の映画(その1)

冬が苦手だ。
寒くなると心が萎縮して、鈍い冬の日差しの下では自分の影さえ薄くなる気がする。
冬季鬱というものかもしれない。

心が弱っているそんな時期には、壮大なファンタジーなんかより、ひっそりとした等身大の小さな物語の方が心にすんなり沁みる気がする。
今日、京都みなみ会館で観た二本の映画も冬のそんな気分が選ばせた映画であったかもしれない。

「海炭市叙景」は、函館をモデルにしたらしい海炭市という架空の町を舞台にした五つの物語のオムニバス映画だ。
冬の北海道。
そこに生きる人の決して明るくはない小さな物語たち。
不況のために造船所を退職させられた青年と妹、開発のために立ち退きを迫られている老婆、妻の浮気を疑うプラネタリウムの職員、再婚した妻の子供への虐待を止められないガス屋の若社長、路面電車の運転手である父との間の溝を埋められない息子。
その小さな物語を映画は丹念に共感を込めて描き出す。
観ていて元気になる映画ではない。
でも元気でなくても生きていていい気持ちにさせられる映画だ。

決して明るくない映画の終りに、小さな命の誕生の予感を感じさせて、物語は幕を閉じる。
そのぬくもりが弱った心に優しい。

ところで、この映画で、またしても騙された、と思ったのは加瀬亮さんだ。
この人の出ている映画をもう何本も観ているのに、髪型と役柄を変えられるともう見分けがつかない。
これほど映画によって印象の変わる役者を他に知らない。
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