蛇にピアス

「蛇にピアス」のDVDを観た。
原作は、僕にしては珍しく、芥川賞取ってすぐ読んでいる。
面白かった記憶はあるのだが、ストーリーはほとんど忘れていた。
そもそも僕は文学向きの人間ではないのだ。
以下ネタばれを含む。




「痛い」映画だと思ってちょっとびくびくしながら観たんだけど(僕は痛いのが嫌いなのだ)、思ったほど痛くはなかった。
というより、全体の印象は、意外にもとても優しくてみずみずしい映画だ、というもの。
蜷川幸雄監督は、世界からちょっとずれてしまった若者を共感を込めて、もしかすると少し羨ましさを込めて描いている。
スプリットタン、刺青、サディズム、と言った一見きわどい題材を扱っているが、彼らはほんのちょっとずれてしまっただけで、そんなに特別な若者としては描かれていない。
ルイ、アマ、シバの三人の関係は、甘えやエゴイズムや破壊願望を抱えながらも閉じているがゆえのある種の親密な空間を形作っている。
破局に至るはずの不穏なクライマックスも、その親密さを破壊することはない。
アマを殺したのがシバだとしても、それが単なる嫉妬や独占欲ではなく、ある種の愛情に基づくものであることが観るものに伝わるからだ。
むしろアマの死によって三人の絆が永遠のものになるかのように物語は終わる。

観ていて思ったのは、蜷川監督は原作者の金原ひとみさんや、主役の吉高由里子さん、ARATAさん、高良健吾さんたちの若い才能を楽しみながらこの映画撮ったんだろうな、ということ。
70歳過ぎてこんなみずみずしい映画撮れるのはすごいと思う。
でも年齢を重ねた監督だから、この残酷な物語をこんなに優しく撮れるのかな、とも思う。
スポンサーサイト
プロフィール

おがわさとし

Author:おがわさとし
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR