チャイナ・クオリティー(その2)

二本目は「長江哀歌(ちょうこうエレジー)」。
ベルリン映画祭で金獅子賞を受賞した作品。
「ルオマ」をがんばって観たので、こっちの方で眠気が襲ってきた。
非常にリアルな作りの映画なんだけど途中にえらくシュールなシーンがある。
たまたまそのシーンの前にうつらうつらしてしまったので、そのありえない情景を見たときに、本当にそういうシーンがあったのか、それとも一瞬寝たすきに夢を見たのか判別できなかった。
観終わってパンフを見たら確かにそういうシーンがあった。
悔しいのでもう一回観る。
今度はちゃんと起きて観た。
巨大なダムのために沈んでいく古都奉節(フォンジェ)を舞台にした作品。
住民が移動して空き家になった建物が取り壊されつつある。
その廃墟や廃工場のイメージがこの映画に叙事詩的な厚みを与えている。
物語そのものはシンプルだ。
別れた妻と娘を探しに来た男の話と別れた夫を探しに来た女の話。
この二つの物語は並行して描かれ、直接的にはお互いに関わらない。
この映画も主要な4人だけがプロの役者で、他はみんな現地で集めた素人だそうだ。
作りとしては基本的にドキュメンタリー的なリアリズムで描かれているにも関わらず、この映画には何か神話的な魅力がある。
ところどころに入る奇妙なシーンがまたこの映画の幻想性を際立たせている。
一つ例を上げると、主人公が空を見上げると、UFOが飛んでいる、というシーンがある。
物語そのものには直接関係していないのに、なぜか唐突にそういうシーンが入る。
僕が夢か現実か分からなくなったのはまた別のシーン。
この映画の監督ジャ・ジャンクーはテオ・アンゲロプロスに比較されたりしたことがあるそうだが、確かにアンゲロプロスに似ていなくもない。
歴史とその中に生きる人間を叙事詩的なスケールで描いていることやシンボリックで計算されつくした映像なんかが似ている気がする。
今度この監督のオールナイト上映会があるのでそちらも観たくなった。

何かとクオリティーに問題が指摘される中国製品だが、映画はまだまだトップレベルのクオリティーを保っているようだ。
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