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大映特撮ナイト 第5夜 「氷柱の美女」

DeAGOSTINIの大映特撮映画DVDコレクションを公開年代順に観ていく一人上映会、第5回は1950年公開の「氷柱の美女」。
原作は江戸川乱歩の「吸血鬼」で、後に天知茂主演のTVシリーズ「江戸川乱歩の美女シリーズ」第1作としてリメイクされている。
らしいのだが、原作も未読で天知茂のTVシリーズも観ていないという体たらく。
お陰で先入観なく観れた(言い訳)。

江戸川乱歩の「吸血鬼」には吸血鬼が出てこない、というのは知っていた。冷酷無比な犯人に対する比喩なのである。
大映はこの頃盛んに探偵スリラー映画を作っていたらしく、すでに観た「虹男」「幽霊列車」「透明人間現る」もミステリー色の強い作品だったし、このDVDコレクションには入っていないけどこれ以前に多羅尾伴内ものがあったりする。
戦後GHQにチャンバラ映画が禁止された代わりに現代劇のミステリーが多く作られたらしい。

嵐の晩、二人の男が一人に女性・静子を巡って争うシーンから物語は始まる。静子は紳士然とした三谷を選び、顔に大きなあざのある画家岡田は復讐を誓う。
しかしその岡田は顔面に大きな怪我をした投身自殺死体として発見される。
そこから話は二転三転し、怪しげな人物が次々現れ、奇怪な事件が次々起こる。
原作を読んでいないので、どこまでが江戸川乱歩のアイディアでどこからが脚本家の独創なのか分からないが、かなり盛りだくさんでサービス精神旺盛な作品である。
「一寸法師」とか「せむし女」とか今だと問題のある描写もしばしば。

物語は概ね静子の旧友で明智小五郎の助手である文代の視点から描かれる。
強い女性はこの時期の大映ミステリーの特徴だったのだろうか。「虹男」の女性記者、「透明人間現る」の男装の麗人と同じ趣向だ。
文代役の相馬千恵子は長身で明智役の岡譲二とほとんど変わらない。もしかすると文代の方が背が高いんじゃないだろうか。
この映画の明智小五郎はオールバックでスタイリッシュなイメージ。少しだけど小林少年も出てくる。原作は小林少年の初出作品だそうだ。

この映画も特撮映画、というほど特撮が出てくるわけではないんだけど、特殊メイクが一つの売りになっている。謎の「唇のない男」のメイクも不気味で猟奇的。
中盤のお化け屋敷のシーンはけっこう本格的に怪談映画のノリである。ここが一番の見どころかも。

タイトルになっている「氷柱の美女」は当時の宣伝でも「裸女氷詰めのクライマックス」と謳われているのだけど(ネタバレ気味)、ちょっとあっけない。
たぶんここは原作とは違っているんじゃないかな。
とりあえず原作買って読んでみます。

次回は「鉄の爪」。

大映特撮ナイト 第4夜 「透明人間現る」

大映特撮映画を公開年代順に観ていく一人上映会、第4回は1949年の「透明人間現る」。やっとザ・特撮映画という感じの映画になった。

舞台は神戸。化学者中里博士には瀬木と黒川という2人の愛弟子がいて、その2人は博士の長女真知子を愛している。2人はそれぞれ違う理論で物体を透明化する研究をしていいたのだが、実は博士はすでに透明薬を完成させいていた。それを知った自称実業家川辺は透明薬を悪用しようとする。

原作は高木彬光でプロットはさすがにかっちりしている。この映画の透明人間はH・G・ウェルズの小説を踏襲し包帯をぐるぐる巻きにした姿をしているのだが、包帯を巻いていれば普通の人間も透明人間に見えることを利用したトリックなんかも出て来る。単純と言えば単純なのだが、82分を飽きさせない。男装の麗人水の江瀧子など登場人物も多彩。

特撮は円谷英二。この時点で48歳と実はそんなに若くない。戦後公職追放の憂き目にあった後の復帰作でもあるそうだ。東宝でも「透明人間」を撮っているが、こちらは「ゴジラ」と同じ1954年の映画で、大映のこれの方が5年早い。1933年に米ユニヴァーサル社が「透明人間」を作っていて、それに触発された部分は大きいだろう。ユニヴァーサル社の映画ほどの派手さはないが、透明猫が部屋を歩きまわるシーンなんかきめが細かい。足跡がペタペタ着くシーンはコマ撮りなんだろうけど、カメラがかなりの速さで動いていて、これは面倒くさいはず。透明人間が包帯を解き服を脱いでいくシーンは全体の中でも大きな見せ場で力が入っている。透明人間がサイドカーを走らせるシーンもさすがの出来。しかし裸でバイク乗ってたら寒いだろうな。

オープニングのクレジットで透明人間の配役が「?」になっていてちょっと笑った。「月光仮面」よりだいぶ早い。でも透明人間って透明であることだけが取り柄なので、実はそんなに強くないんだよな。裸だし。透明であることを透明人間が利用しているシーンって意外と少なくって、透明であることにびっくりしている相手を恫喝している、というのが多くてそこは残念。透明人間がいることに気付かず、ヒロインの真知子が恋敵に告白するシーンのいたたまれなさが案外この映画の最大の見どころかもしれない。

次回は「氷柱の美女」。

火は火星の火 第2回 「巨大アメーバの惑星」

火曜日に火星SFを観る一人上映会の第2回は「巨大アメーバの惑星」(1959年アメリカ映画)。
昔たぶんVHSのビデオで一度観たことがある。コウモリグモ以外見事に覚えていなかった。しかしこれがなかなか面白い。

火星探査に行ったきり消息不明だったMR-1号が地球に帰ってきたところから映画は始まる。無線操縦で無事ネバダ基地に降り立ったMR-1号には女性隊員アイリス・ライアンと謎の腫瘍に侵されたトム・オバニオン大佐が乗っていた。オバニオン大佐の生死はアイリスの記憶にかかっている。アイリスは恐怖に満ちた体験を語りだす。

なかなかいい出だしだ。物語は基本アイリスの回想という形で展開する。火星にたどり着くまでがちょっとかったるいが、いちおうメイン・キャラクター(上記2人以外にも2人いる)を描こうという意図は分かる。ちなみにアイリスは燃えるような赤毛。火星に合わせてるのかな。

火星の描写がなかなか興味深い。どうもフィルムを安く上げるための効果らしいのだが、CineMagicなる技術が使われている。白黒のフィルム(こちらの方が当時はだいぶ安かったらしい)をソラリゼーションという技術で処理したあと赤く染めたもの。観ていただかないとどういうものが分かりにくいと思うのだが、ちょっとアニメーションっぽく見えて、安い特撮でも目立たないということらしい。アメリカのWikipediaによると。賛否あるようだが(どちらかと言うと評判悪いようだが)個人的にはこの効果がけっこう好き。なんかシュールレアリスム絵画っぽい雰囲気がある。

その赤くて幻想的な映像の中にいろいろモンスターっぽいのが出てくる。まずは巨大食虫植物、続いて一部では非常に有名な例のコウモリグモである。これは本当にかっこいい。ネズミのような顔にクモのような長い脚がついていて、造形的にも動き的にも秀逸である。昔観た時はなんとなくアニメーションのような気がしていたのだが、よく見ると操演のようだ。そして邦題の元になっている巨大アメーバ。これもクラーケンじみて面白い。

ついでのように火星人も出てくる。いちおう火星人は一連の事件の黒幕らしい。全身を作るお金がなかったと見え、かなり手抜きな描かれ方をしている。ところでこの火星人も地球のことを学んでいて英語を喋る。火星人なかなか勤勉である。火星の都市もちらっと出てくるのだが、残念ながら安っぽい絵が使われているだけで大して見どころではない。この映画はやっぱりモンスター映画として観るのが正解なのだろう。僕の好きなアニメーション映画「ファンタスティック・プラネット」にちょっと似た雰囲気がある、と言えば熱心なルネ・ラルーファンには怒られるかもしれないが。

監督のイブ・メルキオ−はデンマーク生まれの作家で脚本家で映画監督。不勉強でほとんど観ていないのだが、フィルモグラフィーを見るとなかなか面白そうな映画の脚本を書いたり監督をしたりしている。「バンパイアの惑星」の脚本もこの人か。そのうち観なくては。

大映特撮ナイト 第3夜 「幽霊列車」

大映特撮映画を公開年代順に観る、3本目は1949年の「幽霊列車」。
柳家金語楼、花菱アチャコ、横山エンタツら、僕でも名前くらいは知っている落語家、漫才師が主演した喜劇映画ということで、特撮の幽霊がわやわや出て来る気楽な映画を期待していたらそういう映画ではなかった。
いや、いちおう喜劇なのだが、人間の欲望をわりとあからさまに描いた、戦後の混乱期の世相を反映した感じの映画。
雨の夜、山間の駅で足止めを食らって駅舎に泊まることになった一癖も二癖もある乗客たちのコミカルでサスペンスフルな群像劇に幽霊列車というアイテムが絡む。
登場人物の一人である傷痍軍人の盲人に「連中は、エロとグロと迷信に固まっているんです」というようなセリフがあるけど、そういう欲に惑う人々を少し引いた視点から見ている。
ネタバレになっちゃうけど、ホラーではなくミステリー。
幽霊出てきません。
エンタツ・アチャコは初めてちゃんと観るけど、この存外重い映画の中のコミカルパート担当。
映像は今観てもなかなかかっこいい。
夜のシーンがほとんどなのだが光と影の処理が巧みで美しい。撮影は宮川一夫。
特撮は回想の列車事故のシーンなど。円谷英二によるものだそうだ。
でも一番の見所は日高澄子演じる狂女(実際には違うんだけど)がラジオから流れる「東京ブギウギ」に合わせて踊りまくるシーンじゃないかな。ここは面白い。
オープニングとエンディングにかかる変な主題歌も聞きどころ。

次回は同じ1949年の「透明人間現る」。やっと特撮映画らしくなるのかな。

大映特撮ナイト 第2夜 「虹男」

DeAGOSTINIの大映特撮映画DVDコレクションを公開年代順に観ていくシリーズ第2回は戦後に移り1949年の「虹男」。監督は牛原虚彦。これで「きよひこ」と読む。かっこいいね。

まずオープニングでかかる音楽に驚いた。伊福部昭である。1954年の「ゴジラ」より5年も前。ウィキによると伊福部昭が初めて映画音楽を手掛けたのは1947年の「銀嶺の果て」という映画らしいのでかなり初期の映画音楽ということになる。しかしかっこいい。そこにかぶるシュールな絵もなかなか味がある。
以下少しだけネタバレ。

虹を人工的に作る研究をしている物理学者摩耶博士の別荘で起こった放火殺人事件。その足跡を追うと「虹男」という謎の存在が浮かび上がる。と書くとなんか東宝の変身人間シリーズみたいな感じで面白そうでしょ?実際途中まではかなり面白い。派手な演出、凝った美術、わざとらしい照明、大仰な演技、そして何と言っても虹男の存在をほのめかすパートカラー!日本の長編映画でカラーというと1951年の「カルメン故郷に帰る」ということになっているので、この白黒映画に突然色が出てくるのは当時相当衝撃的だったはず。今観てもびっくりした。もっともカラー部分のフィルムは現存していないそうで、このDVDのカラー部分は後から新たに作ったものらしい。そこは残念。

若き日の小林桂樹が準主役格の新聞記者で出てきたり、後に中川信夫監督の「東海道四谷怪談」(1959年)でお岩役をやる若杉須美子(嘉津子)が容疑者のヒロインだったり見どころは多い。主役の女性記者(暁テル子)のキャラクターは当時としては新しかったのではないか。摩耶家の怪しい面々もいかがわしくていい感じだ。嵐の中、電話ボックスでお手伝いさんが殺されるシーンは出色の出来。しかし後半に行くにつれプロットの無理が目立ってくる。謎解きもあっけない。いちおうミステリーなんで、スーパーナチュラルなものは出てきません。ちょっと「電送人間」的なの期待したんだけどな。で、これ特撮映画なのかと言われると、そうか?と首を傾げたくなる。

虹男というイメージが秀逸なだけに惜しい。

虹男

このパンフレットの絵、楽しみにしてたんだけど、出てこなかった。これは宣伝用の写真らしい。これ出てきたらあとはどんなにぐだぐだでも大目に見られたんだけどな。
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